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新型肺炎 日本の観光に底知れぬ打撃 訪日客減は当然、国内旅行も停滞か

 新型コロナウイルスの感染拡大で、日本の観光が縮小の危機を迎えている。訪日外国人旅行者のうち最大の割合を占める中国人客の激減はもはや不可避だが、専門家は欧米などでも「日本離れ」が起きる恐れがあると指摘。日本人の国内旅行も停滞が懸念され、各地の自治体も苦慮している。

 欧米などでも敬遠?

 中国政府は春節(旧正月)休暇中の1月27日、海外への団体旅行と、旅行会社がホテルや航空券を手配する「パッケージツアー」での個人旅行を禁止した。

 2019年の訪日中国人客は959万人で、国・地域別で最多の3割を占めた。観光庁の調査によると、中国人客のうち団体旅行は約3割、パッケージツアー利用は約1割を占め、現在の禁止措置が続けば、合わせて約4割の訪日がストップする計算だ。北海道は2、3月に団体客らがゼロだった場合、観光消費が昨年同期より200億円以上減少すると試算する。

 大動脈となっている定期航空便の運休も相次ぎ、2月9日からの1週間の便数は予定より約6割減。完全な個人旅行者の減少も避けられない。

 中国以外からの旅客誘致にも暗雲が漂う。公益財団法人「日本交通公社」の塩谷英生理事・観光経済研究部長は「日本も感染者が多くなっており、旅行先として選ばれる可能性が低くなるだろう。2~6月は昨年より3割ほど落ちるのではないか」と日本離れの恐れを指摘する。

 日本人の旅行控えも懸念される。日本旅館協会の佐藤英之専務理事は「『中国人客は泊まっているか』といった問い合わせが増えており、返事次第ではキャンセルする国内客もいる」と声を落とす。

 観光庁は相次ぐ自然災害や日韓関係悪化による韓国人客減少などで対策に追われてきたが、それらを上回る事態になりそうだ。

 自治体も苦心

 自治体も対応に苦心している。三重県は中国人客のキャンセル数などを調べているが、公表するかどうかは細心の注意を払う。中国人客が集まる場所が明らかになり「風評被害につながっては意味がない」(鈴木英敬知事)との理由だ。

 一方、富士山や温泉が人気の山梨県は「行政や業界が共通認識を持って対応する」(担当者)目的で、1月24~30日に約1万5000人分の宿泊キャンセルがあったことを公表した。昨秋の台風被災地での旅行代金を割り引く「ふっこう割」を国内客向けに手厚くできないか、観光庁に掛け合っている。

 岐阜県は独自の手を打った。県予算の予備費を財源に、県内のホテルや旅館に泊まる人向けの割引クーポンを600枚発行した。県担当者は「経営的に打撃を受けている施設がある。少しでも助けになれば」と話す。

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