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集客型企業、感染防止へ苦悩 スーパーや鉄道…新型肺炎の完全対策、難しい現実

 政府が肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大防止への協力を広く呼びかける中、流通各社など不特定多数の利用者が集まる「集客型」企業が頭を悩ませている。混雑した場所ではウイルスの飛沫(ひまつ)感染が心配されるだけでなく、感染者が手を触れた商品などを通じた接触感染のリスクも高い。このため、各社は人気イベントの中止を決断したり、売り場の衛生管理を徹底したりするなど対応に懸命だ。ただ、非常時でも顧客のニーズが強いサービスを提供する企業も多く、完全な対策は難しいという現実もある。

 「感染には細心の注意を払っているが、安全確保の観点から見送りを決めた」

 小田急百貨店は3月に東京都内の高級ホテルでの開催を予定していた「エクセレントバザール」を中止した理由をこう説明する。

 高級婦人服などを割安で販売するエクセレントバザールは年3回開かれ、開場前から行列ができるほどの人気イベント。会場は多数の来場者で混雑し、感染リスクが高まることが予想され、中止を決断せざるを得なかった。小田急百貨店は同様の理由で新宿店本館での物産展の中止も決めている。

 流通各社は売り場作りにも気を配る。高島屋は2月23日から、食品売り場での積極的な試食サービスの提供を原則、見合わせている。これまでも試食品について、包丁のアルコール消毒や、蓋やラップをしている容器を使うといった条件を設けていたが、当面は顧客から要望があった場合などを除いて、試食サービスを控える方針だ。

 また、セブン&アイ・ホールディングスは、イトーヨーカドーで2月上旬ごろから来店客がトングで取っていた揚げ物などを個別包装やカバーをかけての販売に切り替えた。担当者は「店舗での衛生対応をとることで、来店客に安心感を与えられる」と説明する。

 一方、感染拡大の中心となってきた中国と日本を結ぶ航空便を運航する全日本空輸や日本航空は機内のアルコール消毒を実施している。鉄道各社では手すりやつり革などが感染を広げる温床になりかねない。東急電鉄は手すりなど乗客が手を触れる部分の消毒を通常の車内清掃とは別に行っている。

 消毒の徹底は密室内で複数の利用者が熱唱するカラオケボックス各社にとっても重要課題だ。携帯電話各社も販売店で多くの来店客が手を触れる携帯電話の見本品の消毒に力を入れる。また、NTTドコモは高齢者の参加が多いスマートフォンの使い方を教える「スマホ教室」の開催を3月15日まで取りやめている。

 ただ、食品の販売や交通機関の運営は生活に欠かせない要素で、非常時であっても業務を止めるわけにはいかない。ある企業の担当者は「お客さまに来店してもらう以上、リスクをゼロにすることは難しい」と漏らしている。

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