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楽天携帯、大手3社に風穴 「衝撃的な価格戦略」で値下げ競争へ

 楽天が4月に本格参入する携帯電話サービスで、原則としてデータ通信量に上限がないプランを月額2980円と携帯大手3社の大容量プランの半額以下で提供することになった。赤字覚悟で価格競争を仕掛け、他社からの乗り換えを促すのが狙いで、携帯大手もプラン見直しで対抗することが必至だ。

 楽天が“第4のキャリア”として値下げ競争を活発化させれば、3社横並びで寡占状態だった国内携帯市場は新たな局面を迎えそうだ。

 「革新的というか衝撃的な価格戦略を実現している」。楽天の三木谷浩史会長兼社長は3日の記者会見で自画自賛した。

 「大手の半額でやれる」。楽天は新規参入の申請に際し、政府に示していた公約を守った形だ。2013年に業界3位のソフトバンクが4位のイー・アクセスを買収してから7年間は3社寡占が続き、携帯料金も高止まりする。総務省幹部は「いよいよ、これから価格競争が始まる」と06年にソフトバンクが携帯市場に参入して以来の大きな変化を期待する。

 大手3社の主力の大容量プランは詳細の価格設定の基準が各社で異なるが、NTTドコモが月額6980円、KDDIとソフトバンクが7480円だ。家族との同時加入や光回線とのセット割引などを活用すれば最大3000~4000円安く済むが、「楽天はそれよりさらに安く、顧客獲得が進むだろう」とMM総研の横田英明常務は指摘する。

 携帯料金の見直し議論は政府が主導してきた。菅義偉官房長官が18年8月に「4割値下げの余地がある」と発言したことを号砲に昨年10月には端末の値下げ幅や2年縛りの違約金に上限を設けて利用者が乗り換えやすくするなど、価格競争を促すための環境整備を急ピッチで進めた。

 だが、蓋を開ければ、この1年の価格競争はドコモが割高だった料金を他社並みにしたくらいだった。各社とも値下げの余力を残しながら昨年10月に参入予定の楽天のプランを注視したが、延期になり値下げを急ぐ必要性はなくなった。

 「4社になればシェアが安定的ではなくなり、競争の原理が働きやすい」と総務省幹部は3社でシェアの9割を占める寡占に風穴を開け、国民負担を軽減することに執念を燃やす。ベンチマークにするのはフランスだ。3社寡占が続いた市場に2012年にフリーが参入し、携帯料金は5年ほどで半額以下になった。

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