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「目玉ゼリー」SNS通じ人気拡大 娘のために作った指クッキーが始まり

 「中西怪奇菓子工房。」製造から発送を1人で対応

 ぶるんとした質感と充血が生々しい目玉。恐る恐る口にしてみると、ゼリーのさわやかな甘さが広がる-。

 大阪府豊中市のナカニシア由ミさん(41)が営む「中西怪奇菓子工房。」が販売する「目玉ゼリー」だ。ほかにも、もぎ取られた指の形のクッキーに、脳みそ形のレアチーズと、グロテスクさと遊び心の混じった菓子で人気を集めている。

 2014年の開業以来、実店舗は持たずオンライン通販のみ。ナカニシさんが自宅の一室を改装し、1人で製造から発送までこなしている。

 「最初は牛乳を固めたら白すぎたので、カルピスで試したらうまくいったんです」と目玉ゼリーのリアルさの秘密を楽しそうに話す。血は「赤黒さがちょうどよく、白目の表面にとどまる」クランベリーシロップを注射器で注入している。

 短大卒業後、5年ほど過ごした米国でホラー映画にはまったというナカニシさん。これまでの勤務先はペットショップやホテルで、製菓を専門的に学んだことはない。

 アレルギーがある娘、椛文さん(11)のために、レシピサイトを見てクッキーを手作りし「次はもっと面白いものを」と、血がにじんだ指の形に作ってみたのが「怪奇菓子」作りの始まりだった。料理は苦手だが「お菓子は図工のように自由に形を作れるのが楽しかったんです」と振り返る。

 モットーは「リアルでおいしく面白く」。友人に贈って好評だったため新作も作り、副業として販売するうちに、会員制交流サイト(SNS)で人気に火が付き、全国から注文が舞い込むようになった。シングルマザーで「家でできる仕事がしたい」と勤め先を辞め、菓子作りに専念することを決めた。

 ハロウィーンやクリスマスの時期は注文が殺到。17年公開の映画「東京喰種 トーキョーグール」で撮影用の食材を制作したほか、ホラーの映画やイベントに合わせた依頼が引きも切らない。「面白がる人が想像以上に多くてうれしかった。技術を磨いて、もっと多くの人を楽しませたい」と話している。

 【用語解説】中西怪奇菓子工房。

 イベントなどを除き、販売はオンラインのみ。「目玉ゼリー」1個200円、「指クッキー3本入り」360円など。2月に発売された新作は、耳が切断される場面のある西部劇「続・荒野の用心棒」リマスター版上映に合わせ作った「耳クッキー」(200円)。菓子のほか、Tシャツなどのオリジナルグッズも販売している。

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