遊技産業の視点 Weekly View

ハノイに日本企業が新カジノ施設

 □シークエンス取締役・LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史

 今回はベトナムの首都・ハノイの日本企業が経営する新しいカジノ施設について触れてみたい。2008年以降、ハノイ中心地からノイバイ国際空港にかけた北部地域への外国資本の進出が増えてきたが、最近は西部方面の開発が進み、この地域の不動産価格が上昇している。ただハノイには、これといった観光スポットがなく、唯一、市民憩いのホアンキエム湖周辺や湖の北側に広がる旧市街地が、ハノイを訪れる観光客は必ず一度は訪れる観光地といえる。また、この湖の南東には、オペラハウスと八月革命広場を中心にフランス建築のしゃれた建物が林立し、高級ホテルやブティックが並ぶチャンティエンという通りがある。

 そして昨年3月、北海道・東北地方を中心にパチンコホールを展開するベガスベガスが、この通りの5つ星ホテル「デルオペラハノイ」の地下に小規模カジノ(有償ゲームセンター)『ハリウッドワン ゲーミングクラブ ハノイ』をオープンした。現地法人ベガスベガスベトナムとして展開する同社にとっては、2017年12月のハノイ東部・ハロン市でのオープンに次いでベトナム国内2店舗目となる。

 ハノイ店はテーブルゲーム3機(ルーレット2機、バカラ1機)、スロットマシン18台とこぢんまりとしており、地下のカジノフロアへの入り口の視認性も良いとはいえないが、オペラハウスに近く、何よりも日々、外国人観光客が集積する旧市街地エリアのカジノ施設であることから、中国人や韓国人に立脚しているハノイのカジノ施設の中にあって、販促などの訴求次第では欧米層に食い込める余地はある。

 またオープンから半年以上が経過した今でも、ハノイの日本人在住者向けに発行しているタブロイド紙面に全面広告を掲載するなど、現地日本人駐在員の取り込みにも余念はない。駐在員の間で、「ハノイは娯楽が少ない」とよく言われ、基本的に暇を持て余している。だが、駐在員はアジア系を中心に増えつつある。そんな中で、カジノ施設が彼らの余暇を過ごす1つの選択肢になるのは間違いないだろう。

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【プロフィル】木村和史

 きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のリポート執筆などを手掛ける。

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