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大相撲、新型コロナで綱渡りの15日間 感染なく千秋楽「誇りに」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、史上初めて無観客で行われた大相撲春場所。日本相撲協会は力士らが一人でも感染すればその時点で中止にするとしていたが、22日の千秋楽で15日間を乗り切った。ほかのスポーツやイベントが軒並み延期や中止に追い込まれる中、徹底して講じた感染対策は功を奏したが、課題は山積している。(浜田慎太郎)

 「過酷な状況下で皆さまの声援を感じながら立派に土俵を務めあげてくれた全力士、全協会員を誇りに思う」。八角理事長(元横綱北勝海)は千秋楽挨拶(あいさつ)で時折言葉を詰まらせた。その言葉には安堵(あんど)の思いがにじんでいた。

 最大の感染対策は徹底して外部との接触を避けたことだ。同協会は不要不急の外出を控えるよう各部屋に要請。普段は支援者らと飲み歩く力士も、部屋でトランプをしたり、映画を見たりして過ごした。公共交通機関を使うことを禁じ、普段は電車で会場入りする若い衆もタクシーを使った。

 当初は戸惑っていた力士らも次第にその生活に慣れた。力士会の会長を務める横綱鶴竜関は「夜に(支援者らと)ご飯を食べると、それで感染する可能性もあった。徹底して対策したことがよかった」と話した。

 一方、発熱による休場者が出るたびに緊張が走った。幕内の千代丸関は7日目の夜に発熱し、翌朝も40度近い高熱だったことから8日目から休場した。協会は九重部屋に隔離を要請。新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査を受け、結果は陰性だった。

 他にも若い衆で発熱した力士がいたが、いずれも早期に回復。中止という最悪の事態は避けられた。

 ある協会関係者は「一人でも感染したら中止というのは厳しいと思ったが、その方針を打ち出したことで皆が感染対策を徹底することになり、よい結果につながったのでは」と話す。

 無観客は相撲の魅力を再認識する機会にもなった。

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