話題・その他

働き方改革の主要110社調査 企業間に残業抑制の温度差

 構造的要因 解決は道半ば

 昨年4月から始まった残業の上限規制は、長時間労働が当たり前の従来の慣行を改め、子育てや介護、地域活動などと仕事の両立をしやすくすることにつながる。ただ調査結果からは、各企業の取り組みに温度差があることが浮かんだ。識者は「まだ働き方改革の導入期。規制をかわすのではなく構造的な要因と向き合うべきだ」とし、本腰を入れた対策を求める。

 調査結果では、残業抑制のために実施した取り組み(複数回答可)として、「業務内容の整理や削減」が97件、「ITなどで業務効率化」が86件、「人事当局の監督を強化」が64件と続いた。この1年で残業が減ったとした企業の回答も、この順に多かった。

 取り組みが業績に与えた影響については、「どちらとも言えない」が約78%、「いい影響があった」が約17%を占めた。「悪い影響があった」と答えた企業はなかった。

 規制導入後、深夜勤務など割増賃金の支払額が「減った」企業は約30%で、「増えた」の約5%を大きく上回った。

 減ったとする企業のうち、支払額減に伴い浮いた財源を基本給や賞与などで従業員に還元したと答えたのは約3割にとどまった。還元方法では「自己研さんや仕事と家庭の両立など福利厚生に使えるポイントを付与」との回答もあった。従業員の働き方改革への満足度を高めるため、賃金面でのメリットは必要で、一層の工夫が求められる。

 千葉商科大の常見陽平専任講師(労働社会学)は「業務が残業ありきで設計され、長時間労働の構造的な要因になっている。『規制されたから残業を減らす』ではなく、仕事や給料の在り方を真剣に問い直すべきだ」と分析した。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング