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お金を大量供給する「ヘリコプターマネー」 新型コロナ感染拡大のリスクも

 日本国債の信頼に懸念も

 ただし、ヘリコプターマネーには異論もある。社会に出回るお金が増えすぎれば、極度の物価上昇が起きる「ハイパーインフレ」に陥るリスクが高まるからだ。このため多くの国の当局者は、ヘリコプターマネーの採用に慎重姿勢をとってきた。

 特に、日本はすでに債務残高が国内総生産(GDP)の200%を超え、主要先進国の中で最悪の水準となっている。野放図な国債の発行に踏み切るとみられるだけでも、金融市場での日本国債の信頼低下を招くリスクがある。金利急騰や金融機関の財政悪化の引き金になることを懸念する声は根強い。

 それでもヘリコプターマネーが国際的に注目を集めるのは、感染拡大地域が中国だけでなく欧州や米国まで広がり、「新型コロナとの戦争状態」にあるとの認識が強まっているためだ。ウイルスという目に見えない敵との戦いの先が見通せないことも、危機感を強める要因となっている。トランプ大統領は「私は戦時下の大統領だ」として、新型コロナとの戦争での勝利を最優先させる姿勢を強調する。

 新型コロナとの戦争では、むやみに消費を刺激すれば人と人の動きが増えて、感染拡大のおそれが強まるという不安もある。また、財政出動には一時的な景気下支えだけでなく、持続的な成長を実現する役割も重要になるとの指摘もある。

 東京財団政策研究所は、ウェブサイトで公表している約20人の経済学者による共同提言で、「消費や投資を無差別に刺激する景気対策を目的とはしない」と強調。そのうえで、緊急の経済支援が必要な家庭があることを踏まえ、無差別・無条件の公的緊急融資を行った後、事後的に生涯所得が少ない人には返済を免除するなどの方策をとることを提案している。(小雲規生)

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