ビジネス解読

新型コロナで利用者“爆増” 強まる巨大ITの市場支配

 その市場で5割超のシェアを握っているのが、首位のアマゾンはじめ、スパコンプロジェクトに集まった面々だ。

 各社はそれぞれのITサービスを新型コロナ対策に積極的に提供して社会的な貢献に努めているが、その活動は、結果的に潜在顧客の掘り起こしやサービス利用範囲の拡大など、世界レベルのビジネスチャンスにつながっている。

 実際、顧客層の広がりをにらんだ戦略も出てきた。

 マイクロソフト(MS)は3月30日、文書作成や表計算で知られる業務ソフトのクラウドサービス拡充を発表。簡潔な表現に書き換える候補を自動で提示してくれるなどのAI機能を追加したほか、企業や教育機関などの法人向けだった「チームズ」の機能を個人にも展開する方針を打ち出した。また、在宅勤務を意識して企業色を薄める狙いか、サービス名称も「オフィス365」から「マイクロソフト365」に改めた。

 パンデミックを経験したことで、働き方や学び方、危機管理など新たな社会の仕組みを探る投資が世界的に増えるのは確実だ。その際に、クラウドなど最新のITサービスの導入が検討されていくのは自然の流れ。技術力やコスト競争力に勝る巨大ITへの資本やデータの集中はさらに増す可能性が高く、自動運転やAIなど、次世代技術の覇権争いで巨大ITと対峙(たいじ)する日本企業は戦略の再考を迫られるかもしれない。

 一方で、クラウド市場の拡大と寡占化が強まれば新たな脅威も生まれる。サイバー攻撃やプログラムのバグ(欠陥)によるシステム障害のリスクが、大規模停電(ブラックアウト)のように巨大化する恐れだ。

 今は新型コロナに打ち勝つことが先決だが、事態の収束後のビジョンも重要だ。(池田昇)

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