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AIで進化するRPA、普及に弾み 定型の事務作業自動化で人手不足解消

 パソコンによる定型の事務作業を自動化する「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」が、一段と進化している。RPAを人工知能(AI)やクラウドと連携させた「RPAI」が登場し、RPAが自動化したデスク業務の単純作業を、AIが学習・分析して作業効率をさらに高めることができるようになった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人手が不足している事務作業でRPAの活用を検討する事例も出ており、普及に弾みがつきそうだ。

 エクセルなどに記載された取引先の伝票書類から社名や金額などを自動的に抽出して1つの帳簿にまとめ、それを上司に毎日メールで報告する-。こうした手間のかかる事務作業を瞬時にできるのがRPAのメリットだ。これまで、ITに造詣の深い一部の社員にしか理解されず、RPAの普及が進まなかったが、様相が変わってきた。

 「RPAの導入に携わる担当者が、企業の枠を超えてRPA利用の便利ツールやAIツールについて情報交換している。明らかにステージ(段階)が変わっている」

 NTTデータのRPAソリューション担当、鈴木秀一課長は、市場の開拓に自信を見せる。NTTグループのRPA「WinActor(ウィンアクター)」に関する各種のウェブサイトを運営し、ユーザーが集う場を提供したり、効率的な利用事例や他の製品との連携ツールを販売する場を提供したりしている。その中で、ユーザー企業の担当者同士による情報交換や、便利ツールの自主的な開発が盛んになるなど、RPAを積極的に活用しようという機運が高まっている。

 当たり前のツールに

 NTTデータは「RPAが業務効率化に欠かせない、あって当たり前のツールとして認知されるようになった」とみて、さらに機能強化を進めている。

 今年1月からは、NTTドコモが提供する対話型AIサービスとWinActorを連結させ、オペレーターによる電話応対からパソコン操作までを一貫して代行する新サービスの実証実験をドコモと行っている。実証実験の結果を踏まえ、今後、企業や自治体への提供を目指す。

 また、NTTデータ先端技術(東京都中央区)と、NTTアドバンステクノロジ(川崎市)は、WinActorの異常発生時のトラブルを解決できる管理機能を共同開発した。こうした事例のように、NTTデータがNTTグループ内のハブ(中核)企業としての役割を果たし、RPAの機能強化が進んでいる。

 RPAがAIと連携するメリットについて、鈴木氏は「オフィスならではの業務をRPAやAIで自動化しておけば、テレワークのようなオフィスに縛られない働き方が容易になる」と話す。RPAIによって事務作業が少なくなった社員は、別の創造的な仕事にも取り組める。

 日本市場に参入している外資系も、同様の新製品を相次いで発表している。

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