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万博会場・IR予定地工事が危惧する新型コロナの影響 今後の見通しは

 2025年大阪・関西万博の会場であり、大阪府市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の候補地でもある大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)。2大プロジェクトの舞台として、今春から土地造成やインフラ整備が本格的に始まった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、主要ゼネコンで工事中断が相次ぐなど建設業界では不透明感が漂う。夢洲での工事は継続されているが、今後の見通しはどうなるのか。

 現場での感染も

 夢洲をめぐっては現在、万博予定地(約155ヘクタール)の土地造成工事が急ピッチで行われているほか、道路の拡幅、上下水道の増設、大阪メトロ中央線の延伸といった複数のインフラ整備が同時並行で進んでいる。

 ほぼすべてを万博開幕前の令和6(2024)年度末までに完了させる計画で、総事業費は963億円を想定。今年度当初予算だけでも約75億円規模に上る。

 市は緊急事態宣言を受け、夢洲の工事を請け負うJV(企業共同体)に聞き取りを実施。工事の中断も了承するとしたが、事業者側は予定通り行う意向を示したという。

 ただ、建設現場での感染拡大の恐れもあり、予断は許さない状況だ。

 実際、東京都では4月、同じ現場で働いていた清水建設の作業員3人が新型コロナに感染、うち1人が死亡した。同社は緊急事態宣言が解除されるまで、東京や大阪などでの工事中断を決定。このほか、西松建設も大阪など7都府県で原則全工事を中断している。

 大阪市のある幹部は、「1つの現場で感染者が出れば、集団感染が発生する可能性はある。感染予防は事業者に任せているが、状況に合わせて対応したい」と気を引き締める。

 事業計画に遅れ

 世界的な「コロナ禍」は、万博や府市のIRの事業スケジュールそのものに影響を及ぼしつつある。

 政府は大阪万博の開催計画を記した「登録申請書」を6月にパリで開かれる博覧会国際事務局(BIE)総会に提出し、承認を得る予定だったが、感染収束まで総会は延期されることに。政府は次回の総会での承認を目指し、準備を進めるが、正式に承認されるまで、各国へ大阪万博参加の呼びかけはできない。

 また、府市が誘致を進めるIRでは、感染拡大で事業者の公募手続きを3カ月遅らせることを決定。事業者への土地の引き渡し時期も遅れることから、理想としてきた万博前のIR開業を断念することになった。

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