メーカー

百貨店各社、全館営業へ加速 感染対策や品ぞろえ工夫

 百貨店各社は新型コロナウイルス特別措置法に基づく政府の緊急事態宣言を受け、全館休業や食品売り場のみでの営業で対応してきたが、時短営業での全館営業や営業区画の拡大など“アフターコロナ”へ歩み出す動きが始まった。

 高島屋は14日、東京都世田谷区の玉川高島屋ショッピングセンター(SC)など東京都と千葉県内の3店で、衣料品や寝具などの生活必需品関連売り場を対象に部分的に営業を再開した。「休業前の5~6割程度の営業レベルに戻る」(担当者)。同社は緊急事態宣言が全国に広がると食品売り場のみの営業に切り替えていたが、11日には高崎店(群馬県高崎市)と岡山店(岡山市)を全館営業に戻している。

 緊急事態宣言が解除される県では、再開の動きが加速している。百貨店のそごう・西武は、西武秋田店(秋田市)とそごう徳島店(徳島市)を15日に、西武福井店(福井市)を21日に、それぞれ時短での全館営業へ移行する。

 J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店も、高知大丸(高知市)は11日に全館営業を再開し、松坂屋静岡店(静岡市)は13日に全館営業に戻した。近鉄百貨店は四日市店(三重県四日市市)を15日に再開。中国地方で百貨店を展開する天満屋(岡山市)も岡山、鳥取の店舗で順次、営業を再開した。

 都市部の大型店舗でも、再開準備が進む。全館休業中だった大丸東京店(東京都)や梅田店(大阪市)など大丸松坂屋百貨店の8店は、7日から食品売り場のみの営業態勢へ移行。中元カウンターの設置など、全館営業に向けた準備を進めている。高島屋も、大阪店(大阪市)と京都店(京都市)で近く全館営業を再開させる。

 高島屋は「臨時休業の長期化で、利用客からはアパレルや慶弔品など食料品以外を求める声も強まっている」と話す。例年ならピークとなっているランドセル商戦などはインターネット販売だけでカバーするのは難しいといい、各社は店内営業再開に期待を寄せる。

 ただ、営業を再開しても「感染がいつ再燃するか分からず、まだ喜べるフェーズではない」(J.フロントリテイリング)というのも事実。各社は、先行して再開した店舗での課題を整理し今後の再開店舗に反映させたり、訪日外国人需要が見込みにくいなか、国内客を想定した品ぞろえを図る考えだ。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング