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ANAも協力、日本産へのこだわり医療用ガウン15万着の奮闘
国産の存在価値
今回、谷さんは国産の重要性に改めて気づいたという。「たとえ海外からの物流が止まったとしても国内に物資を供給できる態勢が必要。医療用のマスクやガウン、そしてお米…。生活や医療に関する、人の命にかかわるものは日本で作っていかなければならない」
そもそも谷さんが事業を始めたのも、国内縫製にこだわってきたためだ。
経産省の工業統計によると、国内繊維産業の事業者数は、この20年で5分の1以下に減った。一方で、国内市場への衣類の輸入浸透率は増加し続け、30年には97・7%となった。海外の安い加工賃の縫製が増えたことで、国内の縫製工場が廃業した。仕事を失った多くの職人の高い技術を生かすために谷さんが築いた「マイホームアトリエ」はある。
コロナ禍によって、海外からの物流は簡単にストップしてしまうことも証明された。感染が世界的に収束すると海外製が再び流通するとみられるが、「国内生産のルートを確保しなければ、次の危機が訪れたときに立ち向かえない。収束後も、たとえ100枚と少ない数でも作り続けたい」と決意する。
谷さんは「今、僕たちが感謝され、注目されるのは不安があるから。物資が足りていれば人は忘れる。医療現場で働く人に『日本で製造されているから決してなくならない』と安心感を与えて、一秒たりとも僕たちの顔を想像することがなくなればうれしい」と話している。