高論卓説

タイミングが悪い「レジ袋有料化」 プラを出さない企業努力も必要

 7月1日からレジ袋の有料化が始まった。今後は、レジ袋に商品を入れてもらう際には、1~5円程度のお金を支払わなければならなくなる。以前から既に有料化に踏み切っている店もあるが、本格始動によりさまざまな問題に直面していくことだろう。国民の関心を高めるために有料化に踏み切ったという話だが、いかんせん、タイミングが悪いと思わずにはいられない。

 植物由来のバイオマス素材を25%配合しているレジ袋であれば、無償で提供してもよいということになっている。25%がバイオマス素材としても、75%はプラスチックなので何とも中途半端な感じが否めない。そもそもなぜプラがそんなに重宝されるのか。それは、安い、軽い、腐らないという性質があるからだ。日本で発生している廃プラは年間900万トンといわれている。プラごみにおけるポリ袋が占める割合はわずか2%ほど。この2%がしばらく現場を混乱させることになるだろう。プラを撲滅させたいならば、わずか2%のところで消費者を混乱させるのではなく、根本的な部分に手を入れていかなければならないのではないだろうか。

 例えば、個別包装、食品パック、発泡スチロールの食器などである。手を付けていくべきはそこにあるはずである。まず、現場ではレジで毎回こう言わねばならない。「レジ袋は有料ですがよろしいですか? 大きい袋にしますか、大きい袋は5円です。小さい袋は3円です」と。エコバックを持参する風潮になってはいるが、コンビニエンスストア大手では商品は自分でエコバックに商品を入れなければならないという。マイバック持参で袋詰めをセルフで行うということだ。

 コロナ禍においてソーシャルディスタンスをまだまだ意識しなければならないときに、汚れたエコバックを持ってきている人がいたとして誰がそれに注意をすることができるのだろうか。

 また、コンビニでもらったレジ袋に使用済みのマスクを入れ厳重にしばり、さらに大きなごみ袋に入れ、ごみとして捨てていた人も多いと聞く。実際に、ニュースでそのような捨て方が好ましいと指南していた専門家も多い。小さなレジ袋はそれにうってつけだった。またわが家では犬を飼っているが、汚物入れとして小さなレジ袋を使うことも多い。実際、散歩で見かける飼い主たちも愛犬の汚物入れとして小さなポリ袋を使用している人も多くみかける。

 さらに単身者は、世の中で販売されている45リットルのごみ袋がそもそも大きすぎる。実際、コンビニやスーパーなどのレジ袋をすなわちごみ袋として活用している人が多いとみるのが現実的だろう。

 結局、小さい袋が必要なのだから買ってきて使うことになるという人も多く、総量として減らすことができるのかどうか疑わしい。使い捨てのプラスチックを減らす、という改革の方が本筋ではないだろうか。使い捨てではなくモノを長く使うような暮らしの啓発。そしてプラを生み出さない企業努力が必要なのではないか。

 最も驚いたのは、ショッピングバックの紙袋を有料化にするという百貨店も表れたことだ。ポリ袋ではなく、紙袋を有料化するというのだ。もはや背景や本質を理解できない状況では迷走する企業も出てくるのだろう。消費者を混乱させるばかりである。レジ袋有料化が小売店の利益になるような施策でないならば、レジ袋有料化によって得たお金は全て海洋汚染や環境保護に使う資金としてはどうか。本来の目的に立ち返るならば妥当な使い道ではないだろうか。

【プロフィル】芝蘭友

 しらん・ゆう ストーリー戦略コンサルタント。グロービス経営大学院修士課程修了。経営学修士(MBA)。うぃずあっぷを2008年に設立し代表取締役に就任。大阪府出身。著書に『転職・副業・起業で夢が実現!安く売るより高く売れたい』(WAVE出版)、『死ぬまでに一度は読みたいビジネス名著280の言葉』(かんき出版)がある。

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