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生産回復「7~9月には8割に」 マツダ社長、早期の在庫調整奏功

 マツダの丸本明社長は3日、広島県府中町の本社で報道各社のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの影響で一部稼働停止が続く国内工場について、7~9月の生産台数は「通常時の80%レベルに戻す計画だ」と明らかにした。在庫のだぶつきで価値が下落しないよう早期に在庫調整を図ってきたが、世界需要の回復傾向が見えてきたという。同社は国内生産のうち業界平均(約5割)を上回る8割超を輸出している。

 本社と山口県防府市の国内2拠点は海外需要急減を受けて3月28日から、稼働を一部停止している。生産台数は、5月は前年同月比16・4%(83・6%減)、6月は回復したものの4割程度にとどまった。

 海外も含めたこうした生産調整の早期実施により、6月末には在庫が平常時水準にほぼ戻り、2拠点とも7月中に夜間操業を含めて稼働を本格化させる。

 コロナの感染拡大が先行した中国市場を参考に、販売予測のシュミレーションも実施。販売実績は、日本や欧州、カナダ、ニュージーランド、タイでは想定に近いと分析している。

 一方、米国に関しては想定を超える回復基調で、4月中旬からは業界平均以上の回復率を記録し、新型スポーツ用多目的車(SUV)投入以外にも「ここ数年の販売店改革など地道な努力がコロナ禍でも効果を見せた」(同席した藤原清志副社長)とした。ただ、中南米やロシアなどの回復は、さらに時間かかるとみている。

 丸本氏は、緊急対策会議で2月初旬から在庫などを毎日分析、「早期の止血(在庫抑制)のため(輸出の)船積みを止める対応も取った」と説明。甚大な影響を受ける地元の下請け取引先(約700社)とも素早い情報共有に努めるなど、一体で行った成果だとした。

 同業他社の回復見通しは、日本メーカーではトヨタ自動車が、世界販売台数について4~6月で前年同期比6割、7~9月が8割、10~12月に9割、通期では約8割を「前提」としている。

 マツダの丸本氏は「四半期ごとのシミュレーションを基礎に、(8月までに予定する)第1四半期決算時に通期見通しを公表する」と述べた。(今村義丈)

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