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金価格の高騰で「コロナ断捨離」活況 ブランド品売却で生活費補填の動きも

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛を機に自宅で眠っていたブランド品や金製品を売却する動きが広がっている。将来の所得不安を背景に身の回り品を整理した際に見つけた「お宝」を断捨離し、生活の足しやお小遣い稼ぎにしているようだ。金などの価格が歴史的な高値水準にあることも後押ししている。

 「新型コロナの影響もあり処分することができた。中古品を売ったのは初めてだが、査定がスムーズで良かった」。医療機関に勤務する大阪市の50代女性は今年6月上旬、中古品販売のコメ兵梅田店(大阪市)でシャネルのイヤリングなどを計約15万円で売却した。外出自粛で自宅のクローゼットを整理した際に出てきた物で、想像以上の価格で売れたことに満足そうな表情を見せた。

 コメ兵によると、「コロナ断捨離」による宅配買い取りの依頼は日を追うごとに増えており、臨時休業による取引量の減少分を一部補うほどだという。大黒屋ホールディングス(東京)も、新型コロナの感染拡大とともに「自宅にある不要なブランド品や高級食器、ワインを整理したい」との問い合わせが増えているという。

 「有事の安全資産」とされる金の価格が歴史的な高値圏で推移していることから、自宅に眠る金製品を売る人も急増している。大阪市の男性会社員(60)は亡くなった母親の遺品の純金コイン2枚をコメ兵梅田店で売却した。「高騰していることを報道で知り、高値で売ることができた」と感想を語った。

 地金大手の田中貴金属工業(東京)の金の買い取り価格の月平均は、2010年6月に1グラム3744円だったのに対し、20年6月は同6554円と史上最高値を更新した。全国の直営店では連日多くの客が訪れ、整理券を配布して対応する店舗もあるという。広報担当者は「昔の交際相手からもらった指輪や、自宅の蔵にあった先祖代々伝わる金杯を持ち込む人もいる」と話す。

 ただコロナ禍が収束に向かい世界的な金価格の高騰が落ち着けば、店頭での盛り上がりも一服しそうだ。りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「各国の景気対策で世界経済が回復に向かえば、これまで金相場に流れていた投機資金は再び株式などへ戻るだろう」と見通している。

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