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熊本豪雨で企業活動にも打撃 工場操業停止や店舗休業、観光業への影響も

 熊本県南部を襲った豪雨は流通や製造のサプライチェーン(供給網)など企業活動にも影響を与えた。生産現場で操業停止の動きが相次いだほか、小売りの一部も休業を余儀なくされた。観光業界への打撃も必至で、影響が長期化する可能性もある。

 「コロナ対策に予算を使ったが、治水対策は無視できない問題。政府とも話したい」。経団連の中西宏明会長は豪雨被害の影響拡大を懸念する。

 炭素素材を手掛ける東海カーボンの田ノ浦工場(熊本県芦北町)では4日に火災が発生。日本製紙の八代工場(熊本県八代市)は「球磨川の水が濁って製紙用に取水できない」(同社)ために操業を停止した。

 豪雨によって社員が出社できない企業も相次いだ。

 パナソニックはセンサーなどの生産を手掛ける鹿児島県南さつま市の工場で6日、従業員が出勤できず、振り替え休日とした。ルネサスエレクトロニクスの錦工場(熊本県錦町)も設備被害はなかったが、従業員が出勤できず、4日から6日朝まで操業を一時停止した。

 マツダも近隣の鉄道路線が6日午後に運転を見合わせたことから、広島県府中町の本社と山口県防府市の工場を昼ごろから順次、操業停止とした。

 浸水被害をうけた熊本県人吉市や芦北町、球磨村ではコンビニエンスストアが浸水。6日午前でセブン-イレブンは5店舗、ローソンは3店舗、ファミリーマートは1店舗が休業。イオンでは福岡、熊本など4県の6店舗が、来店客や従業員の安全確保のため、6日午後6時現在で閉店時間繰り上げを決めた。

 ヤマト運輸は6日午後2時現在、熊本県と鹿児島県にある5営業所を休止。熊本県の一部地域宛ての荷物受け付けを見合わせる対応を取った。佐川急便も熊本県、宮崎県の一部地域で集荷、配達業務を見合わせた。

 観光業の打撃も計り知れない。熊本県では新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除や移動自粛の緩和などで、観光客が徐々に戻り始めた矢先だった。熊本県天草市の天草宝島観光協会によると、観光客が雨の中を移動できず、加盟する宿泊事業者に数件のキャンセルが出た。

 担当者は「状況を確認中だが、天草市南部での影響が心配だ」と話していた。

 ■熊本を中心とした豪雨による企業への影響

 ・日本製紙

  川が濁って製紙用の取水ができず八代工場(熊本県八代市)が操業停止

 ・パナソニック、ルネサスエレクトロニクス

  従業員が出社できず一部の工場が操業停止

 ・ダイハツ工業、マツダ

  従業員を安全に帰宅させるため、福岡、大分、広島、山口各県の工場で操業を切り上げ

 ・東海カーボン

  田ノ浦工場(熊本県芦北町)で浸水、火災が発生

 ・セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート

  熊本県人吉市などで一部店舗が休業

 ・イオン

  客や従業員の安全確保のため、4県の6店舗で閉店時間繰り上げ

 ・ヤマト運輸、佐川急便

  熊本、鹿児島、宮崎の各県で集荷・配達の見合わせが発生

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