大阪土産できたて試食も 「月化粧」の新観光工場オープン
大阪土産として知られる和菓子「月化粧」などを製造、販売する青木松風庵(本部・大阪府岬町)の新工場兼店舗「月化粧ファクトリー」が15日、大阪府阪南市にオープンする。できたての月化粧の試食や製造工程の見学ができる観光型の施設。市が子育て施設として整備しようとした計画が頓挫していた建物を、同社が購入、改修した。行政の混乱で宙に浮いた施設が“有効活用”されることになり、市は観光客誘致の拠点にと期待している。
月化粧ファクトリーは2階建てで、延べ床面積約7千平方メートル。工場には製造工程をのぞき窓から見学できるスペースがあり、菓子の歴史や素材について学べる展示などもある。見学後はまだ温かい月化粧を試食できる。8月中旬から、予約制の「お菓子教室」を開催することにしている。
月化粧は「大阪土産をつくりたい」との創業者の夢から生まれた商品。しっとりした食感と優しいミルク味を基調に素材を厳選して開発し、平成22年に発売した。お笑い芸人の大平サブローさんが出演するCMも奏功し、令和元年度で約1430万個を売り上げる看板商品となっている。
月化粧は岬町の工場で生産されているが、需要の増加に対応することに加え、観光型工場によるPR効果を期待して新施設の設置を決めた。青木一郎社長は記者会見で「家族で楽しみ、月化粧のおいしさを五感で味わってもらいたい」と話した。
この建物はかつて家電量販店だったが、空き店舗となったことで、市が市立の幼稚園と保育所計7施設を統合した子育て支援拠点にしようとした経緯がある。これに対して市民らの反対運動が起き、計画の白紙撤回を掲げて平成28年10月に当選した現在の水野謙二市長が、建物の売却に方針転換。公募に応じた同社が昨年3月に約8800万円で購入し、改修を進めていた。
水野市長は「市全体の産業や観光の発展につなげるため、交通手段やインフラの整備を進めたい」との考えを示した。