金融

かんぽ保険 販売再開へ 日本郵政、改革実行委で承認

 日本郵政の増田寛也社長は16日、傘下のかんぽ生命保険と日本郵便による保険不正販売の発覚後に停止中の保険の営業活動について「(再開の)最終的な経営判断をしたい」と述べ、早ければ今夏にも販売を再開する意向を表明した。ただ、当面は販売目標を設けず、顧客への再発防止策の説明など信頼回復に向けた取り組みを優先する。

 同日開かれた外部有識者でつくる「JP改革実行委員会」の会合で表明した。委員会の5委員は、販売再開の条件をおおむね満たしているとして承認する方向で一致。山内弘隆座長(一橋大大学院特任教授)が「営業再開の準備を丁寧に進めてもらいたい」と促したのに対し、増田氏は「これ以降は経営判断だ」と応じた。1月の社長就任以降、初めて再開に前向きな姿勢を示した。

 一方で、増田氏は「おわびとともに(日本郵政グループが)生まれ変わった姿を伝える活動をする」とも強調。2020年度は営業担当者に販売目標を課さず、法令順守や顧客本位の営業を徹底する姿勢を理解してもらうことを目指す。こうした社内準備などのため、再開が秋にずれ込む可能性もある。

 不正販売は昨年6月に表面化し、かんぽ生命と日本郵便は7月から営業自粛に入った。金融庁などは今年1~3月の新規販売業務の停止を命じた。両社は処分解除後も営業活動を行っていない。

 日本郵政グループは販売再開に当たり、顧客の不利益解消、法令や社内規則に違反した営業担当者の処分、社内管理体制の整備といった再開条件を設定していた。

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【用語解説】かんぽ生命保険の不正販売

 かんぽ生命保険が日本郵便に委託する保険販売で、旧契約を解約し新契約に加入する「乗り換え」をさせ、顧客に新旧の保険料を二重払いさせるなどした問題。2019年12月に日本郵政と日本郵便、かんぽ生命の3社長が引責辞任を発表した。日本郵政グループは今年6月、2000人以上に保険募集人資格の取り消しなどの処分を決めた。

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