キッコーマンの豆乳飲料で新風味「ソーダ/杏仁豆腐」
新しい価値提案でさらなる市場開拓
感染症の流行で、重症化を防ぐための健康な身体づくりが注目されている。食事・休養・運動の3つをバランスさせることが重要だが、特に身体を作る食事には気を配りたいもの。今回の「これは優れモノ」はおいしい健康飲料として市場が拡大している豆乳を取材した。
「9年連続過去最高売り上げを更新中です」と話すのは、豆乳製品では国内トップシェアを誇るキッコーマン飲料のチルド営業本部営業企画部企画グループ長の荻生(おぎう)康成さん(44)。
1980年代にブーム
大学では大豆に含まれるサポニンなどを研究テーマにしていた。以来およそ四半世紀にわたり、大豆や豆乳飲料の研究開発や製造、ブランディングなどに携わってきた豆乳のスペシャリストだ。
豆乳は、豆腐を作るときに欠かせない材料。大豆のしぼり汁である豆乳に、にがりなどを加えて固めたものが豆腐だ。その製法は、中国唐王朝から奈良時代の日本に伝わった。僧侶の精進料理として食されていた豆腐はその後、13世紀の鎌倉時代末期には全国に広がったといわれている。
一方で、豆腐の原材料となる豆乳はほとんど普及しなかった。大豆特有の青臭さやえぐみ、渋みといったものが敬遠されたと思われる。
一部では、豆腐屋から分けてもらった豆乳を飲む習慣を持つ人もいたらしいが、1980年代のブームを迎えるまでは、ほとんど一般には認知されていなかった。最初のブームは、高度成長期のサラリーマンの健康意識の高まりによって広がった。
血圧の上昇を防ぐとか、体脂肪を減らすことに作用するといわれ、多くのメーカーが製造に参入した。
しかし、技術的に大豆の青臭さやえぐみを取り除くといった根本的な課題は取り残されていた。一時スポットライトを浴びた豆乳だったが、「豆乳は健康にはいいかもしれないが、まずいという印象が広がったのも事実です」と荻生さん。
2000年代に入ると同社では、技術革新により、青臭さやえぐみというマイナスの要素を除去することに成功。体の必須要素のタンパク質を植物性の大豆から摂れるということで、再ブレーク。豆乳は、健康に良いというベースができていたことで、マスコミにも数多く取り上げられた。
大豆に含まれるタンパク質やイソフラボン、サポニン、植物性脂肪などは、骨粗鬆(こつそしょう)症や乳がん、前立腺がんなどの予防効果があるとされる。このほか、脂肪が蓄積するのを防ぐダイエットや血圧の安定化、美肌効果などもあるといわれている。
20代の若い層から支持
豆乳と一口に言っても3つに区分される。大豆と水だけで作る「豆乳」は、大豆固形分が8%以上、「調製豆乳」は大豆固形分6%以上で砂糖や米油などを添加して飲みやすくしている。「豆乳飲料」は2~4%の大豆固形分に果汁やコーヒーなどで味をつけているものもある。
同社は、単なる健康飲料ではなく、豆乳にしかない新しい価値提案でさらなる市場を開拓している。この5月にはソーダ風味の「豆乳飲料 ソーダ」「豆乳飲料 杏仁豆腐」を発売し、マーケットの拡大を図っている。
「20代の若い層から多くの支持を受けています」とにっこり笑う荻生さんだった。