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米スペースX社が開発した新型の有人宇宙船が帰還 停滞期に終止符

 米スペースX社が開発した新型の有人宇宙船「クルードラゴン」が日本時間3日午前3時50分ごろ、米国の飛行士2人を乗せて米フロリダ沖のメキシコ湾に着水し、国際宇宙ステーション(ISS)から約2カ月ぶりに帰還した。米国はスペースシャトルの廃止以来9年ぶりとなる自国の有人宇宙飛行を復路も成功させ、停滞期に終止符を打った。

 クルードラゴンは2日午前、高度約400キロで地球を周回するISSを離脱し、ほぼ円錐形の帰還カプセルを分離。3日未明に秒速約8キロで地球の大気圏に突入し、数千度の高温に耐えながら高度を下げ、パラシュートを開いて着水した。付近の海上には同社の機体回収チームが待機した。

 米航空宇宙局(NASA)の中継では、着水後に船内で飛行士2人が機器を操作する様子が映し出された。

 クルードラゴンは世界初の本格的な民間宇宙船で、5月に同社の大型ロケット「ファルコン9」で打ち上げられた。今回は試験飛行で、ISSに約2カ月係留され、帰還に向けた機体の検証を行っていた。

 NASAや宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今後、飛行結果を踏まえて機体やロケットの安全性を詳細に評価。問題がなければ、9月下旬にも予定される次の打ち上げで、宇宙飛行士の野口聡一さん(55)らが搭乗する。さらに星出(ほしで)彰彦さん(51)も、来年春ごろの搭乗が決まった。

 NASAは2011年にシャトルを廃止後、ISSへの飛行士の輸送をロシアのソユーズ宇宙船に有償で頼ってきた。シャトルの後継となる新型宇宙船の開発は民間に委託し、同社のほか米航空大手ボーイングも開発を進めている。

 クルードラゴンは全長約8メートル、直径約4メートルのカプセル形で定員は最大7人。今回は米軍パイロット出身の飛行士2人が搭乗した。

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