金融
予算獲得の手段で形骸化、意義問われる「骨太方針」
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「官民のデジタル化や国土強靱化は従来の課題。改めて骨太で書くほどのものでもないが、ダラダラと対応できていないことがコロナ禍で浮き彫りになった」と指摘する。
自民党総裁の任期満了である令和3年9月が近づくにつれて、小泉氏をしのぐ憲政史上最長の政権を率いる安倍首相の求心力にも陰りがみえてきた。政府内では国論を分けるような大きな課題や、業界団体の利害が絡み合う難しい案件にこれから着手するのは難しいとの指摘もある。国難に直面した今だからこそ、真に骨太な方針が求められる。
骨太方針と成長戦略は安倍晋三政権下で8回目になるが、看板政策を次々と掛け替え目新しさを演出する割に実行力が乏しい。端的に示すのが成長戦略の数値目標の進行遅れだ。内閣官房の報告書によると、令和元年度は157項目の目標のうち未達と遅れが47%に上り、予定通りに進行した項目は40%にとどまった。データが集計できていないことを理由に評価が困難だとしたものは13%だった。
今年の骨太方針では、安倍政権が平成27年に掲げた令和2年ごろに名目国内総生産(GDP)を600兆円まで押し上げる目標も言及がなかった。今年1~3月期の名目GDPは年率換算で546兆円にとどまり実現の見通しは立たない。
進行の遅れはIT分野など日本が海外に比べ出遅れた分野で目立つ。新たな政策を打ち出すだけでなく、目標未達の理由を検証し改善する取り組みを真剣に進めなければ、戦略は絵に描いた餅で終わってしまう。(田辺裕晶)