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マックとベネッセで苦杯 原田泳幸氏がタピオカ「貢茶」で起こした改革

 【経済インサイド】

 昨今の「タピオカ」ブームを牽引しているのがタピオカミルクティー。その一つ、台湾発祥の台湾茶(ティー)チェーン「ゴンチャ(貢茶)」を運営する日本法人のトップが、業界関係者から注目されている。日本マクドナルドホールディングス(HD)、ベネッセHDを渡り歩いたプロ経営者として知られる原田泳幸氏(71)だからだ。

 原田氏は昨年末、グローバル事業での成功経験を買われ、日本法人のゴンチャジャパン(東京都)の会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した。マクドナルド、ベネッセで経営責任を問われる形となった原田氏が、失敗で得た知見をタピオカでどう生かすのか。

 「(新型コロナ禍で)厳しい中であるからこそ、守りと攻めと筋肉質の組織体制を作るため、大きな変革をやってきた」

 原田氏は7月21日に開かれたゴンチャジャパンの成長戦略説明会の冒頭で、こう切り出した。

 台湾・高雄で2006年に創業したゴンチャは、韓国や北米など17カ国・地域で1300店以上を展開。日本進出は15(平成27)年で、現在は70店超の店舗があり、フランチャイズ(FC)加盟店が約8割を占める。

 今年はコロナ禍で売り上げを落としたが、郊外店では前年超えの販売水準まで回復。デリバリー専門店の開発にも着手しているという。

 原田氏が新天地で成長戦略として挙げたのは、顧客層拡大と来店頻度の向上、そして「数年以内に国内400店達成」という店舗数拡大の3本柱だ。こうした戦略には、マクドナルドなどでの成功体験が生かされている。

 顧客層対策では、3月から一部メニューに学割価格を導入した。ブランドの柱でもある4種類の台湾茶を基本にしながら品目数を売れ筋に絞り込み、注文から商品の提供までの時間を短縮する。

 こうした改革は、「100円マック」や、流れるような接客作業で話題を集めたマクドナルドでの手法と似ている。原田氏は会見で、「どうやって客数を最大化していくか。どのような独自性のメニューを持つか。一番利益を生むメニューは何か。この3つの柱がメニュー戦略だ」と語った。

 店舗数拡大では、FC戦略にも言及した。「私には過去の苦い経験があり、一つの地域に直営と複数のFCが混在するという状況では、経営効率が非常に悪くなる」と指摘。さらに、「マクドナルドでFCの痛みを伴う大変革を行った。成功の鍵はワンファミリー・ワンブランド。これをやっていきたい。マクドナルドでも成功した」と語った。

 ゴンチャでは、世界展開を加速させるため、現在は各国でバラバラだったサプライチェーンやITインフラといった事業基盤の共通化を急いでいる。原田氏はその助言も行っており、「グローバルでの成功のためには、日本での事業成功が重要だ」と言い切った。

 原田氏のプロ経営者としての経歴は波瀾万丈だ。原田氏は、アップルコンピュータ(現アップル)日本法人社長を経て、平成16年に日本マクドナルドHDと事業会社の社長に就任。分かりやすさ重視の「100円マック」や、ドライブスルーの拡充、24時間営業の拡大などで立て直し、24年12月期まで6期連続営業増益という実績を挙げた。

 その後、コンビニエンスストアとの競争激化や店頭でのメニュー表の撤去問題が社内外で反発を招くなどして業績は下降線に。25年には、兼務していた事業会社トップの座をサラ・カサノバ氏(現・日本マクドナルドHD社長兼CEO)に譲り、26年にはHDでも代表権のない会長となり、経営の第一線から退いた。

 原田氏は26年、ベネッセHDの会長兼社長に就任したものの、同年7月に事業会社で顧客情報の漏洩事件が発覚し、対応に追われた。ベネッセHDは27年3月期決算で上場以来初の最終赤字に転落。原田氏は経営を立て直せずに就任から2年あまりで引責辞任している。

 マクドナルド、ベネッセと業績悪化の責任を取らされた格好で、プロ経営者としての原田氏の評価はゴンチャでの成功にかかっている。

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