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レナウン 切り売り、清算へ 一括譲渡模索も…業界の構造不況鮮明

 経営破綻したアパレルの名門レナウンが「ダーバン」や「アクアスキュータム」など主要ブランドを売却後、会社を清算する方向となった。事業を一括譲渡する形での存続も視野にスポンサーを探したが、交渉が難航し、最終的に切り売りを余儀なくされた。同業他社も苦境が鮮明で、リストラの嵐が吹き荒れる。

 バブル期に業界トップに君臨した輝きは見る影もなく、再建に向けた交渉は誤算続きだった。

 5月に民事再生手続きに入り、当初は6月末までにスポンサーを決める計画だった。交渉相手の中には「一括譲渡を検討した企業もあった」(関係者)が、大半の提案はブランドの切り売りによる解体が前提。社内では途中から「このご時世に丸ごと引き取る企業があるとは思えない」と弱気な声も上がっていた。

 在庫の割引セールで短期の資金をつなぎ、ぎりぎりまで会社存続の道を探ったが「解体を避けようとしたことで交渉が難航」(金融筋)した。2カ月近くずれ込んだ末、主要ブランドを小泉(大阪市)のグループ企業などに売り渡して120年近い歴史に幕を下ろすことになった。

 レナウンと同様に百貨店を主要販路とする大手アパレル各社は、構造的な不況が深刻だ。三陽商会は赤字体質が染み付き2020年2月期まで4年連続の赤字。オンワードホールディングスは、21年2月末までに約700店舗の閉鎖を検討する。ワールドも約200人の希望退職と計358店舗の閉鎖を決めた。

 各社は百貨店の看板に甘えて在庫を抱え込み、セールありきの販売方法でブランドの価値を傷つけてきた。在庫処分や不採算店舗の削減は対症療法にすぎず、収益力のある自社ブランドを育成してこなかったつけは大きい。

 集客力の衰えた百貨店に代わる販路として注力し始めたインターネット販売も道半ばだ。新型コロナウイルスの感染再拡大で、各社の売り上げは一層落ち込んでいる。資金繰りが行き詰まり「何社か淘汰(とうた)される」(大手アパレル首脳)事態も現実味を増してきた。

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