動き出した働き方改革

橋下徹氏×高橋恭介氏(2-2)「大事なのは緊張感を与えること」

 鶴田 かつては、東大のトップクラスといえば、まず霞が関の役所、とりわけ旧大蔵省に入省して国に尽くすというのが典型的なエリートの象徴と言われました。ところが、最近では、必ずしもそうではない。国を変えるような気概ではなく、むしろ国家公務員としての安定感、さらには天下りまで考えての霞が関への就職という人も多くなっているのではないでしょうか。

 橋下 霞が関の公務員は優秀な人が多いですが、確かに気概という意味ではそうした傾向はあるでしょうね。考えてみたら、彼ら彼女らの職場は典型的な丁稚奉公型。超高給取りなので、丁稚奉公に甘んじてここを目指す人も出てくるわけですね。

 鶴田 霞が関は政治家に何を言われても“忍の一字”の我慢の文化をつくってしまったように思えます。これも働き改革の阻害要因かもしれません。

 橋下 霞が関の改革論を言い出したらきりがありませんが、丁稚奉公型をやめるならやはり職務の見える化が必要なのに、そこが完全に抜け落ちている。このままでは優秀な人材が霞が関に行かなくなってしまいますよ。

 高橋 先程の繰り返しになりますが、すでにそうした傾向も出ています。役所も企業もそうですが、もう日本の社会、経済構造が変わり、働き方の改革も待ったなしの状況になっているのは間違いないと思います。コロナ禍も背中を押しています。そんな環境下だからこそ、職務の見える化を進めながら、ジョブ型を浸透させる必要があります。

 鶴田 この会議を立ち上げたのも、ほぼメンバーシップ型一辺倒できた働き方を、今こそ変えていかなければ日本の未来はないという危機感からです。もう理想論を語っている時間はありません。より迅速に、現実的な問題として今後も改革の議論を深めていきたいと思います。

【プロフィル】橋下徹

 はしもと・とおる 早大政経卒。1997年、司法修習を経て弁護士登録。98年、橋下綜合法律事務所開設。2008年、大阪府知事(公選第17代)、10年、地域政党「大阪維新の会」を結成し代表に就任。11年、大阪市長(第19代)。現在は弁護士、タレントとして活動。旧態依然とした因習打破を掲げ、年代を超え多くの支持を得る。51歳、東京都出身。

【プロフィル】高橋恭介

 たかはし・きょうすけ 東洋大経営卒。興銀リースを経て2002年、創業間もないベンチャー企業であったプリモ・ジャパン入社。副社長として人事業務に携わり、当時数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍させた。08年、リーマンショックの直後にあしたのチームを設立、代表取締役に就任。46歳、千葉県出身。

【用語解説】日本働き方会議

 実践に基づくIT(情報技術)と革新マネジメントで日本の全ての企業と働く人を元気にしようと、2020年4月1日にシステム科学、一般社団法人可視経営協会、フジサンケイビジネスアイ(日本工業新聞社)が設立した。本部を東京都文京区に置く。ホームページのアドレスはhttps://jwc-kaikaku.jp

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