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紀尾井町戦略研究所 AI医療機器の規制緩和を支援

 紀尾井町戦略研究所社長・別所直哉さんに聞く

 --ヤフー(現Zホールディングス)で法務責任者としてインターネットビジネスの法規制緩和に取り組んできた。独立した経緯は

 「伸び盛りのベンチャー企業が法規制に絡む事件や事故をどう回避するかなどの相談を受けることが多く、川辺(健太郎社長)さんからもヤフーでのノウハウを他の会社に生かしたらと言われたこともあり、2017年にヤフーの傘下でシンクタンクとして設立した。今年4月にはヤフーから完全に独立したので、ヤフーとの関係を気にするベンチャーからの声もなくなった」

 --現在はどういう分野の規制緩和に取り組んでいるのか

 「人工知能(AI)を使った医療機器の規制緩和に向け、厚生労働省の協議会で議論している。AIは画像解析に優れているので、胃カメラで撮影した何千枚の画像を医師が診断するのをサポートできる。しかし、AIのアルゴリズムが変わったときやクラウドでデータ管理する際に機器の承認制度をどうするのかなど、技術の進歩に応じた課題がある」

 --電動キックボードの規制緩和にも取り組んできた

 「業界団体の設立や国会議員を呼ぶ勉強会などのサポートをしてきた。今年の秋から特区を活用しながら規制緩和を進める方向性も見えてきた。方向指示器をどうするかなど車両の保安基準や、免許をどうするかなどの道路交通法の整備、さらに税法の整備も必要となる」

 --法改正による規制緩和は時間がかかる

 「例えば学校教育は指導要領で自由にできないことが多いと思われがちだが、校長の裁量で中間や期末試験がない中学もある。教育系ベンチャーにはそういう話をして、現状のルールのままでできることも多いことを伝えることもある」

【プロフィル】別所直哉

 べっしょ・なおや 慶応大法学部卒。1981年持田製薬入社。99年ヤフー入社。2012年7月から18年3月まで執行役員。20年4月より現職。神奈川県出身。

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