高論卓説

生産性が高い人の特徴は「優先順位の見極めうまく対応素早い」

 さまざまな企業の各層と、経営実践スキル、リーダーシップを向上させる双方向演習を実施している。演習で構成し問答で進行するプログラムなので、基本知識修得のため書籍を読み感想と質問のメール交換をするという事前プログラムを実施している。演習後は、演習で修得したスキルを実践で活用した状況と質問のメールのやり取りを行い、スキルの活用と定着を図っていただく。(山口博)

 連日、多くの参加者とメールのやり取りをしていて、気付いたことがある。職位が上がれば上がるほど、メールのレスポンスが早いということだ。同じ職位の人であっても、レスポンスの早い人は、その組織でパフォーマンスを上げていることが多い。参加者やプログラムの主催部門の人たちに言うと、「同じことを感じていた」「デキる人ほどレスポンスが早い」という反応が返ってくる。

 実施しているのはスキル向上プログラムなので、職位が上がれば上がるほど、スキル向上への関心が高く、従ってレスポンスが早いということが言えるかもしれない。事実、ある自動車メーカーの販売会社社長は、「社長に着任して、多様な経営実践スキルを高めなければならないという必要性を強く実感した」とスキル向上への強い関心を示している。

 かつては、「職位が上がれば上がるほど、実務を他のメンバーに任せることができて、時間に余裕ができる」という企業もあったが、今日では少ない。私のプログラム参加者は、逆に職位が上がるほど多忙になる状況に直面している人ばかりだ。にもかかわらず、レスポンスが早いということは、マルチタスクハンドリングスキルにたけているといえ、それは同演習のスコアからも分かる。

 私が実施しているマルチタスクハンドリングスキル演習は、タスクの状況から生産性向上のための改善点を見極める方法だ。自ら手を下す10のタスクを付箋10枚に書き出し、重要度の大、中、小を付箋の右下に記入、緊急度の大、中、小を左下に記入。横軸の右から重要度の大、中、小、縦軸の上から緊急度の大、中、小に区分したマトリックスに、10枚の付箋を貼り出す。この貼り出し方から改善点を見極める。

 演習参加者のうち、およそ半分の人々は、このマトリックスに分散されて付箋が貼り出される。重要度の大、中、小、緊急度の大、中、小のさまざまなタスクをバランスよくハンドリングしている。

 パフォーマンスを上げている人は、このパターンの人が多い。一方、他の半分の人々はタスクがどこかに偏っている。

 緊急度が大のタスクばかり抱えていると思っている人は、期限間際のタスクを抱える状況に陥っているかもしれないし、そもそもタスクを気前よく受けてしまいがちなのかもしれない。緊急度小、重要度小のタスクばかり抱えている人は、峻別(しゅんべつ)が甘く、中に緊急度や重要度が大のタスクが紛れている可能性がある。

 重要度小の業務ばかり実施していると他ならぬ本人が思っているとすれば、モチベーションを高めるストロークが必要になる。

 重要度大の業務ばかり抱えている人は、かつては特に役員層に多かったが、年を経るごとにその割合は低下している。「秘書や部下などへ指示するよりもはるかに短い時間で完了できるタスクは自身で行う。現場を知ることにもなるからだ」とある役員は言う。

 わずか10分ほどで生産性を高める改善点を見極められる方法なので、試してみることをお勧めする。

【プロフィル】山口博

 やまぐち・ひろし モチベーションファクター代表取締役。慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、PwC、KPMGなどを経て、2017年モチベーションファクターを設立。横浜国大非常勤講師。著書に『チームを動かすファシリテーションのドリル』『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社)。長野県出身。

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