こだわりと特別感のビール
伊藤 商品を店頭でどうアピールするのかも大きな課題でした。今回はマスメディアを通じたプロモーションはしないことになっていたので、パッケージのアピール力はひときわ重要です。パッケージのデザインや色遣い、打ち出すフレーズが売り上げを左右しかねません。ある研究によれば、消費者が店頭などで購買を判断する時間はわずか2秒だといいます。この2秒間できっちりと訴えることができるプレゼンテーション力をどうパッケージに持たせるのかが焦点となりました。検討の結果、商品の特徴を認識するスピードを早めるために、高級感を伝えるためにベースカラーを金色にし、中央部には「ダイヤモンドホップ」のイメージを置きました。商品名も同じ観点で検討し、100通りくらいの案を末に、「ダイヤモンドの恵み」に行きつきました。
--今回は数量限定でこのほど発売となりました。この商品も含め、今後の展開、展望はいかがでしょうか
海老原 幸いにも、この商品は小売店など流通業界からの評価も高く、計画通り店頭に並んでおりますが、やはり実際に飲んでいただいたお客さまの反響が気になります。お客さまの声をしっかりと受け止めたうえで、今後の商品開発に生かしていきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症拡大によってお客さまの消費行動が変化しているなか、「メリハリ消費」の傾向がより強くなったと思っています。一個人の中で、「これでいいや」と妥協するものと「これがいい」とこだわりを見せるものが共存しています。「ザ・プレミアム・モルツ」が目指すものはこういったお客さまの“ハリ”のタイミングに選んでいただき、喜んでいただくこと。そのためのアプローチを目下検討中です。
林 自宅などでビールを飲む“家飲み”の愉しさはもっと広げられると感じています。こういう環境だからこそ、ビールを飲む愉しさを伝えたい。新たな原料、製法などに対する探究を続け、多くの人に喜んでいただけるビールの開発を続けていきます。ビールで日本を元気にしたいです。
伊藤 新型コロナウイルス感染症拡大によっていろいろなことが大きく変わりました。というか、これまでゆっくりと動いていたものが加速したという印象を持っています。この動きは今後も進んでいくことでしょう。私も今は在宅勤務を続けており、家で飲む機会が多くなりました。みんなで飲むときと違って、自分の好きなもの、気に入ったものを選ぶことになります。このため、プレミアムビールに対するニーズも多様化していくような気がします。ただ、多品種にすればいいというものでもありません。今回の製品も含め、多様化するニーズにどう応えていくのか、多様なニーズにどう訴えかけるのかを今後も考えていきます。
■ザ・プレミアム・モルツ ダイヤモンドの恵み
サントリービールが2020年9月8日に発売したプレミアムビール「ザ・プレミアム・モルツ」の数量限定商品。チェコやその周辺国で収穫・製麦された「ダイヤモンド麦芽」と19年に登場した希少なホップ「ダイヤモンドホップ」を使用し、シトラスやフローラル、ハーブのような複層的な香りや心地よい余韻で“特別感”を表現している。
◇本社=大阪市北区堂島浜2-1-40
◇社長=新浪剛史氏
◇売上収益(酒税込み)=2兆5692億円(2019年度)
◇創業=1899年
◇事業内容=酒類、食品、飲料などの製造販売
フジサンケイビジネスアイは「独創性を拓く 先端技術大賞表彰制度」を設けております。このシリーズは2019年の運営に協力いただきました協賛企業の研究開発活動を紹介するものです。