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新政権、最低賃金の大幅上げで中小企業に「荒療治」も

 菅義偉(すがよしひで)政権の中小企業政策に注目が集まっている。首相は「最低賃金(最賃)の引き上げ」を持論としており、田村憲久厚生労働相に指示するなど地ならしを始めた。首相は消費の拡大や企業全体の生産性向上を目指しているとみられるが、大幅な引き上げによる人件費の増大は、新型コロナウイルスで打撃を受けた経営基盤の弱い中小企業の淘汰(とうた)につながりかねない。

 首相は田村氏に、今年度に全国平均で902円(時給)となった最賃について、1000円への引き上げを目指すように指示。梶山弘志経済産業相には、「中小企業の再編促進などによる生産性の向上」を指示した。

 だが、梶山氏は18日の再任後初の閣議後会見で、「『引き上げありき』ということではなく、上げられる環境づくりがまず第一だ」とした。中小企業庁を擁する経産省は、一定の新陳代謝を促しつつも、積極的に企業数を減らす手法は取ってこなかっただけに、「最賃の引き上げで中小企業の数を減らすという手法を取るとすれば、乱暴だ」(幹部)との声も上がる。

 安倍前政権は、昨年度まで4年連続で最賃の3%以上の引き上げを実施した。首相は官房長官を務めていた頃から最賃引き上げの推進派で、昨年5月の経済財政諮問会議では、「5%程度(の引き上げ)を目指す必要がある」という新浪剛史サントリーホールディングス社長の発言を引き取り、「私が言いたいことを全部言ってくれた」と強調した。一方で世耕弘成経産相(当時)は、「中小企業・小規模事業者の現場では、現行の引き上げペースが精いっぱいだ」と、大幅な引き上げには慎重な姿勢を示していた経緯がある。

 首相は地方経済の活性化にも最賃の大幅な引き上げが有効とみている。政府の成長戦略には今年度中に、「中小企業の生産性向上に向けた事業統合、再編を促すために予算・税制などを含めた総合的な支援策を示す」と明記されており、首相の問題意識を反映した中小企業政策の検討が今後、本格化しそうだ。(高橋寛次)

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