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トランプ政権、対中圧力緩めず 中国国産半導体に制裁 中国アプリには司法の壁

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権が進める中国ハイテク企業の排除策が自国の司法によって阻まれた。米国の裁判所は相次いで中国系アプリの利用制限措置に差し止めを命じており、安全保障上の脅威を根拠とした今回の米政府の対応は不発に終わった。しかし米国は半導体関連製品の中国企業への輸出をめぐり、禁輸対象を中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)以外にも拡大する動きを見せており、対中圧力を緩める気配はない。

 トランプ政権が中国系アプリに厳しい視線を向ける背景には、中国企業が中国の安全保障機関への協力を義務付けられており、米国人の個人情報が流出する恐れがあるとの判断がある。

 それだけに今回の連邦地裁の判断は安保上の脅威に対処する幅広い裁量があると解釈されてきた大統領権限の基盤を揺るがしかねない。米商務省は差し止め決定後、配信禁止の根拠とした8月の大統領令について「完全に法律に合致し、安保上の利益を促進するものだ」との声明を出した。

 対中政策を司法の壁に阻まれたトランプ政権だが、圧力を弱める考えはなさそうだ。欧米メディアによると、米商務省は米国企業からの輸出に許可が求められる規制の対象に中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)を含めた。SMICは半導体生産に必要な米国製の半導体製造装置などの調達が難しくなる。

 SMICは半導体の受託生産メーカーで、中国政府による半導体国産計画の中核を担う。海外企業から生産を請け負って技術の蓄積を進めてきたSMICが規制対象とされたことで、中国の国産計画が打撃を受けるほか、SMICの取引先である華為の部品調達にも支障が出る可能性がある。

 データや半導体をめぐる米中間の覇権争いは当面続くことになりそうだ。

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