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キオクシアが上場延期発表 「適切な時期引き続き検討」

 半導体大手キオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリホールディングス)は28日、10月6日に予定していた東京証券取引所への上場を延期すると発表した。主要取引先の中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米政府の制裁強化で同社に製品を出荷できなくなり、業績の先行きを見通せなくなったため。華為はスマートフォンと通信基地局の世界的大手で、制裁強化の影響は他の半導体・電子部品メーカーにも広がりそうだ。

 キオクシアHDは28日に取締役会を開き、東証への上場延期を決定。東証は同社の申し出に基づき、上場承認を取り消した。上場で想定していた時価総額は1兆5000億円超と、東証で今年最大の案件になる見込みだった。同社は「適切な上場時期を引き続き検討する」としている。

 スマホやデータセンターなどのデータ保存に使う記憶用半導体「NAND型フラッシュメモリー」の大手であるキオクシアHDにとって、華為は主要取引先の一つだが、制裁が強化された15日以降は製品の出荷を停止。17日に東証へ提出した有価証券報告書の訂正報告書には「当社の製品が規制対象に該当する場合、当社グループの事業、経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある」と明記していた。

 キオクシアHDは上場延期の理由について「株式市場の動向や新型コロナウイルス感染の再拡大懸念など諸般の事情を総合的に勘案した」と説明。NAND型フラッシュの激しい競争を生き残るには巨額の設備投資が欠かせないが、制裁強化で上場による調達資金が想定を下回る可能性があると判断したようだ。

 関係者によると、上場延期には筆頭株主の米ファンド、ベインキャピタルが難色を示していたものの、最終的には折れたという。40.6%を保有する東芝は上場時に保有株の約2割を売却し、株主に売却益の過半を還元する予定だったが、延期の決定を受けて売却を中止すると発表した。

 華為への制裁強化は、他の半導体大手の経営をも揺さぶっている。韓国サムスン電子は、華為に記憶用半導体やディスプレーを供給しており、取引額は年間で約6500億円にのぼるとされる。

 同社はキオクシアHDと同じく華為向けの出荷を停止する一方、米商務省に輸出許可を求めているが、短期間で許可が下りる可能性は低いとみられており、業績への一定の打撃は避けられない見通しだ。

【用語解説】米国のファーウェイ制裁 トランプ米政権は中国への情報流出を警戒し、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の排除を進めている。2019年5月に米企業による同社への輸出を禁止し、今年9月15日から米国の技術を使う企業からファーウェイへの半導体輸出を全面禁止した。ファーウェイは中国のハイテク業界を代表する大手企業で、米調査会社IDCによると、世界の20年4~6月期のスマートフォン出荷台数でシェアが20.0%と初めて首位になった。

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