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銚子電鉄がコロナ禍の地元に「恩返し」 地場産品買い取りネット販売

 経営難が続く千葉県銚子市のローカル線「銚子電気鉄道(銚子電鉄)」が、新型コロナウイルスによる観光客減少で行き場をなくした地場産品の買い取りを進めている。自社のオンラインショップで販売し、売れ行きは好調だ。竹本勝紀社長(58)は「地域に支えられてきた鉄道会社として、ささやかな恩返しができれば」と話す。

 銚子市内で海産物を扱う高根商店は5月の売り上げが前年同月比約15%まで落ち込んだものの、その後、銚子電鉄のオンラインショップで缶詰や珍味を販売すると、売り上げが約30倍に増えた。「銚電がいてくれて本当に良かった」。同社の高根翔さん(30)は感謝する。

 1923年開業の銚子電鉄は、銚子駅から関東最東端の犬吠埼付近を経由し、外川駅までの市内6.4キロを走る。生産が盛んなしょうゆの工場の貨物輸送でにぎわった時期もあったが、バスや乗用車が一般的な交通手段になると運賃収入が減り、国や自治体からの補助金が生命線となった。

 何度も経営危機に直面してきた銚子電鉄の“副業”の歴史は古く、76年にたい焼きを販売する食品部門を設立したのが始まり。95年にはしょうゆを使った「ぬれ煎餅」を販売し、「電車の修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」とのキャッチコピーが受け、全国的なヒットとなった。

 「経営状態がマズい…」。近年は営業悪化を「自虐ネタ」にしたスナック菓子「まずい棒」などが話題に。売れるものは何でも売ろうと、各駅に愛称を付ける権利や線路の石が入った缶詰、電車の音まで販売し、今年8月には自主製作した映画「電車を止めるな!」を公開した。

 綱渡りの経営が続く中、新型コロナの感染拡大はかつてない打撃をもたらした。4月の運賃収入は前年比約8割減。自社の経営もさることながら、竹本社長は運命共同体の地域が衰退していく危機感に襲われたという。

 同社では2014年、脱線事故で車両が壊れ、修理費や本数減少で経営が行き詰まった。その際、地元の高校生らがクラウドファンディングを活用し、約500万円を寄付。1年3カ月で奇跡の復活運行を果たした。今回のコロナ禍で地域を助けたいと立ち上がり、土産販売で取引のあった企業に話を持ち掛けた。

 地域が廃れればローカル線はなくなり、より一層廃れてしまう。「お互いに厳しいからこそ、共に生き残らなければならない。ローカル線が地域の広告塔の役割を担っている」と竹本社長。「地元に埋もれる原石を磨き上げ、全国に広めていくこともわれわれの使命だ」と力強く語った。

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