メーカー

ネット通販のトラブル続出 コロナ禍で昨年超える可能性

 インターネットの通信販売に関するトラブル相談が近年、20万件を超える状態が続いている。国民生活センターによると昨年は約23万件。今年は新型コロナウイルス禍の外出自粛でさらに増える可能性がある。製品に不具合があっても出品者やメーカーが海外だと問い合わせが難しく、ネット取引の場を提供する企業「プラットフォーマー」もおざなりな対応が目立つ。消費者庁はプラットフォーマーの規制強化を目指し、法整備に向け議論しているが、業界団体は反発。消費者保護にほど遠い状況だ。

 宇都宮市の会社員、加藤尚徳さん(34)は2017年11月17日早朝、ボンという爆発音で目を覚ました。居間に行くと出火しており、煙が充満。全焼は免れたが、被害は1000万円を超えた。消防の調査で、出火原因は1年半前、アマゾンで購入した自動車用のバッテリーと判明した。中国製で、充電中だった。

 メーカーのサイトにあった連絡先に電話をかけたが、つながらない。メールでやりとりできたが、賠償請求の話になると返信が途絶えた。アマゾンに問い合わせても「他の連絡先は知らない」と繰り返された。

 中国の弁護士を雇い、2年後にやっと和解が成立したが、和解金はほんのわずか。加藤さんは「今も同じメーカーの商品は出品され、口コミの評価も高いまま。同じ苦労をする人がまた出ると思うと心配」と話した。

 偽商品の流通も深刻だ。一般社団法人「ユニオン・デ・ファブリカン」(東京)が「商標権の侵害」としてフリーマーケットやオークションサイトに掲載削除を依頼したのは昨年、約93万件に上った。今年も7月までで約35万件あった。

 担当者は「日本企業のプラットフォーマーは試し買いやパトロールをして自主的に偽物を取り締まるが、外資は無法地帯に近い。出品者の本人確認はずさんで、住所が存在しない場合もある」と指摘する。

 消費者庁は4月、高級ブランドの偽物をアマゾンに出品した13業者に一部業務停止を命じた。大半の業者がサイトに記載した連絡先は、通じなかった。

 トラブル対策として、同庁は昨年末、有識者検討会を設立した。偽物や危険な商品の取引防止、出品者の正確な連絡先の把握と開示など、プラットフォームのルール作りを目指す。

 これに対し、プラットフォーマーなどで構成するIT企業の複数の業界団体からは「法規制がビジネスの成長を阻害する」といった反対意見が上がった。アマゾンとメルカリ、ヤフー、楽天は自主的な取り組みを強化するとして、8月、消費者被害防止のため情報交換する協議会を設立。対策は始まったばかりだ。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング