現場の風

NTTデータ経営研究所 統計にマイナンバー活用を

 NTTデータ経営研究所 社会システムデザインユニット長・上瀬剛さん(50)

 --国勢調査が行われている。100年目を迎えたが調査の意義は

 「住民基本台帳の情報は必ずしもそこに住んでいることを示すものではない。年齢も含め実態としてどういう人たちがどの辺りに住んでいるのかという情報は行政サービスの原本としては非常に重要な情報になる」

 --調査員の確保が困難になってきているなど課題もある

 「高齢化で人が集めにくくなっていることに加えて、タワーマンションが増えるなど住民の距離感が広がり、空き家なども増えている。市町村合併で面積の広い自治体が増えていることも、調査が難しくなっている要因だ」

 --行政のデジタル化が指摘される中、工夫の余地はないか

 「オンライン回答も広がり始めているが、1度は人が訪問して調査している現状がある。英国などは居住地のデータベースがしっかりとしているので調査票を郵送している。日本でもこうしたデータベースを整備すれば、調査員の負担は大幅に軽減される。ほかにも、民間や行政は多くのデータを保有しており、各国で統計にこうしたデータが活用できないか試行錯誤している」

 --行政のデータ活用という意味ではマイナンバーの活用も考えられる

 「マイナンバーは用途が限定されているので今はできないが、活用できるように法改正すれば設問項目を減らすことができる。情報連携することで、省庁などがもともと持っているデータで代用できる設問もあるからだ。企業には同じような公的統計調査の依頼がいくつもくるが、こうしたものを減らせる可能性もある。マイナンバーの用途は広げていくべきだ」

【プロフィル】上瀬剛

 かみせ・たけし 東大法卒。郵政省(現総務省)、外資系コンサルティングファームを経て、2003年にNTTデータ経営研究所。専門はIT政策、電子政府、新規事業立案支援など。大阪府出身。

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