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地方経済の地盤沈下に拍車、消える地方の百貨店

【経済インサイド】

 地方や郊外の百貨店の閉店が相次いでいる。景気低迷のあおりを受けやすく、郊外の大型商業施設やインターネット通信販売との競争激化で収益は悪化の一途をたどる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛も追い打ちをかけた。「中心市街地の顔」となっていただけに、相次ぐ百貨店の閉店は地域経済の活力を大きくそぐ。歯止めをかける方策はあるのか。

 昭和51年のオープンから市民に親しまれてきた西武大津店(大津市)が8月31日、44年の歴史に幕を下ろした。店長が深々と頭を下げ、ゆっくりとシャッターが下ろされると、来店客や関係者は拍手で別れを告げた。常連客は「家族や友達と訪れるのが日課だった」と閉店を惜しんだ。

 大津市で初の百貨店としてオープンし、ファミリー層を中心に人気を集めた。近年はネット通販の拡大や郊外型の大型商業施設に押されて業績が悪化。閉店時には専門店がテナントとして入る商業ビル化し、売上高はピーク時の3割以下に減少した。大津市は「シンボルを失うことになった」と地元経済への影響を懸念する。

 日本百貨店協会によると、平成21年に271店あった全国の百貨店は昨年中に208店まで減った。今年も1月に自己破産を申請した大沼(山形市)のほか、8月には中合福島店(福島市)やそごう徳島店(徳島市)など7店舗の閉店が重なった。来年も松坂屋豊田店(愛知県豊田市)など複数の閉店が計画されている。

 地方経済の低迷と人口減少が背景にあるのは言うまでもないが、消費の主役となる若年層にネット通販が浸透し「百貨店を縁遠い存在にさせている」(業界関係者)という。東京商工リサーチによると、大手や交通系を除く地方百貨店は赤字比率が他の主要百貨店よりも高くなっている。

 もっとも大都市の主要店も苦戦が続いていることに変わりはない。8月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は、前年同月比22.0%減で7月の20.3%減から減少率が拡大した。地区別の売上高でみると、東京、大阪など10都市では全国平均よりも落ち込みが大きい。外出自粛が消費生活に定着する中で、一等地に店舗を構えて集客する従来のビジネスモデルは、見直しが避けられない。

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