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規模拡大に向け…ニトリの島忠買収で見えた好立地争奪戦

 家具大手のニトリホールディングス(HD)が、ホームセンターを展開する島忠に対する買収を検討していることが判明した。同社の完全子会社化に向け、来月16日までTOB(株式公開買い付け)を実施するホームセンター大手DCMHDとの争奪戦が現実味を帯びている。ホームセンターなど住関連商品を扱う大型店は都市部での出店余地が限られており、首都圏に店舗網を持つ島忠が業界再編の鍵を握る格好となった。

 島忠は埼玉県や東京都、神奈川県などに60店舗を持ち、ホームセンターの中でも家具を得意とする。家具中心にインテリアを手がけるニトリは買収で相乗効果を出せると想定しているようだ。DCMも「強力なシナジーが必要だった」(石黒靖規社長)と島忠との相性の良さを強調する。

 「首都圏の好立地に店舗があるのが魅力」。楽天証券経済研究所の窪田真之氏は島忠争奪戦となった背景をそう分析した上で、「利便性の高い場所に店舗網を増やし、規模の力で競争力のあるプライベートブランドをいかに展開するかが重要になっている」と話す。

 直近のホームセンターの業績は上向いている。経済産業省によると、商品販売額は2月から前年同月比プラスに転じ、5月からは2桁増が続く。日本総合研究所の小方尚子主任研究員は「巣ごもり需要で、自宅生活の充実に出費をいとわない傾向がある」と分析する。

 だが業界内では「足元の好調は一過性」との危機感が強い。日本DIY・ホームセンター協会によると、ホームセンター市場(推計)は平成15年度に3兆9千億円に達してから足踏みが続き、今も4兆円台に乗らない。一方で店舗数は千店近く増え、競争力を高める必要性に迫られる。

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