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埼玉県立4病院、2021年4月に独立行政法人化 背景に赤字と人手不足

 埼玉県は、検討していた県立4病院の独立行政法人化について、移行時期を来年4月とする方針を決めた。病院側に幅広い分野の権限を付与することで経営状況の改善につなげ、持続可能な医療提供体制の整備を図る。

 4病院は、循環器・呼吸器病センター(熊谷市)、がんセンター(伊奈町)、小児医療センター(さいたま市)、精神医療センター(伊奈町)。いずれも高度な専門医療を扱う「専門病院」と位置づけられ、民間病院では対応が難しい医療分野を担っている。

 独立行政法人化を進める背景にあるのは、経営状況と人手不足の深刻さだ。

 4病院は近年、支出が収益を上回る状況が続いており、昨年度の合計の経常収支は15億円の赤字だった。

 医師数も定数を約20人下回っており、人材が集まらない理由として硬直した制度が問題視されてきた。県直営の場合、給与体系や定数の変更には議会の承認が必要となり、医師の兼業も認められないからだ。

 独立行政法人への移行により、病院側の判断に基づいた柔軟な運用が可能になる。待遇の改善が医師の確保につながれば、対応可能な患者数も増え、赤字の解消が期待できる。総務省によると、平成20~25年度に独立行政法人化した全国の49病院のうち、37病院(75・5%)で経営改善の効果が見られた。

 一方、採算性を優先し過ぎれば公立病院の性格が薄れかねないと懸念する医療関係者も少なくない。県経営管理課の担当者は「独立行政法人化は、民間にはできない医療ニーズに対応するために必要な措置だ。今後も最先端の医療を提供していきたい」と話した。

(竹之内秀介)

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