国内初の「1局2波」体制、広告外収入も高比率 苦境立ち向かうFM802の躍動
3者に利益の好循環
ココロの変化を可能にした802の収益は広告料とイベント興行収入が2本柱だ。特徴的なのはイベント収益の比率の高さで、奥井氏は「半分とはいいませんが、他局に比べて高いと思います」と明かす。
例えば開局以来、大阪城ホール(大阪市中央区)や万博記念公園(大阪府吹田市)などで、番組と連動した数万人を動員するライブを定期的に開催してきた。また、アーティストが新譜を出すと商業施設で行う公開収録も収入につながる。商業施設は集客を見込め、アーティストは出演料を得ながら新譜がPRできる。局側は広告収入や協賛金が入る上に、アーティストと信頼関係ができる三者にメリットを生むスキームだ。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大を受け、今年前半のイベントはほぼ中止となった。ラジオ業界は広告収入の減少など大きな打撃も受けている。奥井氏は「今後、ラジオ局の再編は絶対にある。局数自体は変わらないにしろ、運営会社は淘汰されていく」とし、経営合理化のために1社で複数の放送局をもつ動きは加速するとみる。
今年9月には、外国語放送のインターFM(東京)をFM東京の関連企業が買収。実質的にFM東京の傘下に入った。近畿大の杉浦教授も「ラジオは地域性が重要。例えば府県をまたいで、複数のラジオ局がホールディングスのような組織をつくり、各地域の放送は地域密着を続けるなどの方策がでてくるかもしれない」と予測する。
奥井氏も802の生き残り策について「ローカル性」だと認識する。802は24時間生放送で、自作の番組にこだわる。オーディションで採用したDJを深夜帯から訓練し、育てていく。「関西ローカルの番組作りを徹底しないと、東京局の放送を(インターネット配信の)radikoで聞いたらいい、となってしまう。そうではなく、関西から東京に発信していく。関西からアーティストを発掘するメディアになる」と力を込めた。