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低温関連業界、対応フル稼働 ワクチン保管に必須だが品不足懸念も

 新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動の両立に不可欠なワクチン接種に向けて、冷凍庫などの関連業界が増産を急いでいる。低温での保存が求められるワクチンの管理に必要なためで、2月下旬までの接種開始を目指す日本を含め、各国政府や医療機関からの需要が急増しているためだ。ただ、ワクチン輸送時に用いられるドライアイスは生産が追い付かずに品不足になるおそれもあり、対応を探る動きも出ている。

 「群馬工場を24時間3交代制に切り替えて、フル稼働している」

 超低温冷凍庫で世界シェア2位のPHCホールディングス(東京都港区)の中村伸朗執行役員は増産の現状についてこう説明する。

 日本政府は昨年、米製薬大手ファイザーと英製薬大手アストラゼネカから各1億2千万回分、米バイオ企業モデルナから5千万回分のワクチンの提供を受けることで基本合意。このうちファイザー製は零下75度、モデルナ製は零下20度の低温管理が必要だ。厚生労働省は冷凍庫について今年度中に計1万500台を確保する考えを明らかにしており、機種の選定作業を進めている。

 PHCは現在は厚労省からの正式な発注を待っている段階だが、コロナの感染が世界で広がった昨年2月以降、海外の製薬会社や物流会社からの注文が増え、8月に工場を2交代制に切り替えていた。「最近は各国政府や医療機関からの注文が多い」(中村氏)といい、今年度の超低温冷凍庫販売は前年度比2倍を見込む。

 超低温冷凍庫の国内シェア2位の日本フリーザー(東京都文京区)も同様に国内外から注文が増え、すでに増産に入った。

 一方、不安を抱えているのがドライアイスメーカーだ。ワクチン輸送で必要となる粒状のドライアイスの製造機の台数が限られており、昨年12月に厚労省から増産の協力要請を受けたものの、「他の受注を止めないと対応できない。それでも不足に陥る可能性がある」(業界関係者)との声も漏れる。

 粒状のドライアイス不足を想定した動きも出ている。低温輸送容器を製造するスギヤマゲン(東京都文京区)はアルミ製の内箱を使って、角形ドライアイス20キロを投入すれば、零下70度以下を約12日間保持できる断熱ボックスを開発した。2月以降に販売を始める。角形のドライアイスでもワクチン保管できるようにすることで、新たな需要を取り込む狙いがある。

 杉山大介社長は「冷凍庫のないクリニックなどに販売したい」としている。(黄金崎元)

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