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紙おむつ焼却せず環境保護 需要拡大、リサイクルで官民連携

 世界的に需要が増えている紙おむつをリサイクルにつなげる取り組みが進んでいる。使用済み紙おむつの大半は焼却処分されているが、再生することで地球規模の温室効果ガス削減が期待できる。技術面での課題はあるが、企業と自治体による協力の動きも広がっている。

 吸水性に優れた日本製紙おむつは海外でも人気で、コロナ禍以前は訪日外国人のお土産としてよく買われていた。日本衛生材料工業連合会によると、高齢化の影響で特に大人用の紙おむつの国内生産枚数は右肩上がりで、2019年は86億枚と毎年5%程度増えている。それとともに捨てられる量も増えており、環境省によると一般廃棄物排出量に占める紙おむつの割合は30年度に約7%前後(約245万~261万トン)になるという。

 ユニ・チャームは16年から鹿児島県志布志市で使用済み紙おむつを回収し、パルプの部分をオゾンで滅菌処理して再利用する実証実験を進めている。22年にはリサイクル商品であることを明記した上で発売する計画だ。高原豪久社長は「地産地消で調達した原材料を使い地域に貢献したい」と意欲的で、こうした施設を30年までに10カ所以上に広げることを狙う。

 尿などを吸収する高吸水性樹脂の再利用も進んでいる。これまで吸水性能を維持したままリサイクルするのは難しいとされていたが、世界トップシェアの日本触媒などは本体の紙との分離性を向上させ樹脂の性能低下を最小限に抑えながら回収し、再生する技術を開発した。

 21年度から福岡県大牟田市で自治体と連携し、回収した使用済み紙おむつを使った実証実験を行い、早期の実用化を目指す。五嶋祐治朗社長は「リサイクルの価値を消費者に理解してもらうことと、安全性をきちんと証明することが大事だ」と強調する。

 三洋化成工業も樹脂を乾燥させてリサイクルする際の手間やコストを軽減するため、従来品より脱水性を約3割向上させた樹脂を開発した。今後、紙おむつメーカーとも組んで製品化を目指す。

 政府は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、紙おむつのリサイクルは実現に向けて有効とされる。環境省は自治体向けガイドラインで紙おむつの回収分別方法や処理施設の整備を呼び掛けており、今後の取り組み加速が期待される。

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