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パナ系電器店に「幸之助流」 全寮制学校50年、後継者へ古典・武道の教え

 パナソニック系列の電器店の後継者を育成する松下幸之助商学院(滋賀県草津市)が設立から50年を迎えた。1年制の全寮制学校で、経営知識に加えてパナソニック創業者の松下幸之助が重視した古典や武道の教育に力を注ぐ。家電量販店やネット通販に押されて電器店の事業環境は厳しいが、今も14人がリーダーのあるべき姿を学んでいる。

 「商道探求、商道探求、商道探求」-。昨年12月上旬、琵琶湖越しに比叡山が望める学院敷地内を生徒たちが掛け声を発しながら走っていた。系列電器店「パナソニックショップ」の後継ぎ候補らだ。

 朝食後、トイレなどを掃除してから「商道科」の授業へ。板張りの講堂で正座し、儒教の古典「大学」を読み経営者としての心構えを学んだ。午後は電気工事士資格取得のための実習などをこなし、厳しく時間管理された一日を終えた。

 商学院は1970年の設立で、これまで約5000人が卒業した。幼少期に住み込みで働いた松下幸之助が生前に修業生活の重要さを説いたといい、水曜と日曜を除いて外出やスマートフォンの使用を禁じる硬派な学風は今も変わらない。

 ただ、時代の変化に伴ってカリキュラムを見直し、2020年度は外部講師の授業でオンライン形式を導入した。生徒同士の議論や発表を重視する「アクティブラーニング」も最近採用し、生徒らは集大成として自店の事業計画を作成する。

 パナソニックショップは約1万5000店あり大手コンビニチェーンに匹敵する規模だが、量販店との競争でピーク時の約半分まで減った。細やかなサービスが売りで主に高齢者の支持を得ているが、ネット通販は年代を問わず浸透しつつある。

 成長の牽引(けんいん)役となる事業を育てきれずに足踏みするパナソニックと同じく先行き不透明感が漂うが、生徒たちは家業に新しい風を吹かせようと意気込んでいる。宮崎県延岡市の後藤海亨さん(19)は「会員制交流サイト(SNS)を使った集客など親世代ができていないことを取り入れる」と強調。大阪府枚方市の池田幸太郎さん(19)は「地域に密着した店の良さをより多くの人に伝えたい」と前向きだった。

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