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テレビ局への依存、終焉の兆し 芸能界でオフィスの売却・移転・縮小相次ぐ
一方で、「大御所はともかく、売り出し中のタレントは台本などを渡す際に事務所に集まってもらい、そこでマネジャーらと細かく作戦を練って、信頼関係を築いていくのが以前の慣習だった。たとえコロナが収束しても、もうその文化は戻ってこない気がする」とつぶやいた。
女優の新垣結衣らが所属するレプロエンタテインメントは今月、創業30周年の節目に合わせて移転した。JR山手線目黒駅直結の立地から、東京・神田駿河台へ。都心の利便性をキープした形だ。
変化を迫られる事務所経営
芸能事務所経営に詳しい江戸川大学の西条昇教授は「アフターコロナの見通しが立たないなかで、芸能プロダクションは生き残りをかけて、新しいビジネスモデルを模索している」と話す。
もともと、テレビ局と密接に連携することで発展してきた近代日本の芸能事務所ビジネスは、YouTube(ユーチューブ)などの動画サイトが興隆し、テレビの影響力が相対的に下がったことで、変化を迫られていたという。近年、タレントと芸能事務所は、テレビ出演のほかにコンサートなどのライブエンタメにも力を入れ、各地から大勢のファンを集めるイベントが収益の大きな軸になっていた。そこをコロナ禍が襲った。
「テレビは密を避けるために出演者を絞り、一方、ライブエンタメのダメージは大きい。いつまでこの状況が続くのか、先が見通せない」と西条教授。
コロナが収束したとしても、果たしてコロナ禍以前と同じエンタメが残るのか、また同じエンタメが必要とされるのか。西条教授は「芸能事務所オフィスの売却や移転、縮小の話は、先が見えないなかで、時代の荒波に適応しようとする動きの一つだろう」としている。(三宅令)