インタビュー

 音声SNSクラブハウス、商談にも 電通メディアイノベーションラボ主任研究員 天野 彬さん(34)

 --音声SNSのクラブハウスが話題だ

 「ラジオとチャットのいいとこどりのようなSNSで、招待制のため、入れないと入りたくなる心理もあり急速に広がった。緊急事態宣言でカジュアルなコミュニケーションが取りにくい中、おしゃべり欲が高まっていたのも大きい。次はオーディオのメディアがはやるということは言われていたが、リアルタイムで話を聴き、参加もできるシステムの新しさが受けた」

 --従来のSNSとの違いは

 「いまのSNSは全体的にオープンで、誰もが見ることができる。一方で、オープンゆえの息苦しさや弊害も指摘されている。仲のいい人同士で深くつながりたいというニーズがあったはずで、そこにクラブハウスがはまったという印象だ。映像や写真が使えないことで、従来のSNSは苦手でも、知識が豊富で話が上手な人などに親和性が高い特徴もある」

 --ビジネスに活用する企業も出てきた

 「企業内で閉じていたミーティングをオープンにすることで、聴きに来た人からも意見をもらうなど、オープンイノベーション的に活用することができる。商談につながったりすることも実際に起こっている。またその延長線上で、社内の雰囲気などを知ってもらい、採用に生かす事例も散見される」

 --定着するか

 「日本でのスタートはうまくいったが中長期的に使われるには、面白いコンテンツが不可欠。ユーチューブでいえばユーチューバーのようなクリエイターの育成も必要だろう。課題もある。クラブハウスの会話は外に出してはいけないという規約があり、それが魅力だがそれを悪用し、犯罪につながるような会話がここを隠れみのに使われる可能性がある」

                   ◇

 あまの・あきら 東大大学院学際情報学府修士課程修了。2012年電通入社後、マーケティング・新規事業開発部門を経て現職。著書に『シェアしたがる心理』、『SNS変遷史』など。東京都出身。

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