東京ガス カーボンニュートラルLNGの普及推進
東京ガス ソリューション共創部長・清水精太さんに聞く
--カーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)とは。供給側、需要側の双方に期待されるメリットは
「天然ガスの採掘から燃焼までの工程で発生する温室効果ガスを、二酸化炭素(CO2)クレジットで相殺し、燃焼させても地球規模ではCO2が発生しないとみなす天然ガスだ。温室効果ガスの削減・排出抑制やSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるほか、需要家にとっては設備投資を伴わず、事業活動を継続しながら取り得る選択肢だ」
--東京ガスは2019年に日本で初めて受け入れた
「ガス業界や東ガスは、電力以外でCO2排出の大きな割合を占める『熱』のカーボンニュートラル化が大きな使命と考えている。その達成に向け、さまざまなイノベーションを鋭意推進しているが、一定の時間を要することも事実。そのため、燃料転換や省エネなどに加え、カーボンニュートラルLNGという選択肢を用意する」
--3月、東ガスなど15社で新組織「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」を設立した
「持続可能な社会の実現に向け、カーボンニュートラルLNGの普及拡大とその利用価値向上を実現させることが趣旨だ。そのためにはマーケットサイドからの活動が極めて重要だ。まずは新組織の存在や活動を広く世の中に発信し、利害関係者と対話して変化に結び付ける」
--新組織は今後、メンバーをさらに増やすのか
「社数を増やしていくという目標もあるが、メンバーの多様化も視野に入れている。今は普及創成期で、カーボンニュートラルLNGという商品の品質やブランドの管理が重要だ。市場を正しく形成していくため、活動の目的に賛同する方々に門戸を広げていきたい。需要家の参加条件としては、カーボンニュートラルLNGをいずれかの施設で採用済み、または採用予定であることだ」
【プロフィル】清水精太 しみず・せいた 早大理工学部、早大大学院修士課程を経て、1995年に東京ガス入社。総合企画部や海外事業推進部、エネルギー企画部などでグループマネージャーを経験した後、2020年から現職。大阪府出身。