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将門塚「カエルの置物」が消えた? 世間を震撼させた“誘拐事件”を機に奉納

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 平安中期の武将、平将門の首を祀(まつ)る将門塚(東京都千代田区)にあった知る人ぞ知るカエルの置物が突如として消えた。将門塚周辺のオフィスで働くビジネスパーソンたちが、海外などに赴任する際、「無事にカエル」ことを願って置かれたものだった。世間を震撼(しんかん)させたある事件を契機に奉納されるようになったという大小さまざまなカエルの置物は、なぜ消えてしまったのか。

 「カエル」と「帰る」

 日本を代表するビジネス街、大手町。そのビルの谷間に将門塚はある。境内にはかつて、大小さまざまなカエルの石像が置かれていた。将門の首が京都から故郷の関東まで飛んで帰ってきたというこの伝説にあやかり、転勤や出張を控えたビジネスパーソンや、行方が分からなくなった家族の帰還を願う人たちが、「無事に帰る」との語呂合わせでカエルの石像など供えたのだという。伝説によれば、天慶3(940)年に「朝敵」として討伐された将門の首は京都に運ばれてさらされた。首は胴体の埋葬されている石井の神田山(将門山)を目指して空を飛ぶが、力尽きて武蔵国豊島郡芝崎(現・大手町)に落ち、そこで祀られたとされる。

 将門塚を管理する神田明神(千代田区)によると、カエルの石像を置く風習は、1986年11月にフィリピンで三井物産マニラ支店長が帰宅途中に誘拐された事件を機に広まった。誘拐された支店長(当時)の無事を祈り、三井物産本社の近くにある将門塚に同社がカエルの置物を奉納したのがきっかけだったという。誘拐された支店長(同)は136日後に無事解放された。

 その由緒あるカエルの置物が最近、姿を消した。訪れる人の中には、なぜ消えたのかと疑問に思う人もいたようだ。事件から約35年。実は、昨年11月から始まった将門塚の改修工事に合わせ、神田明神が三井物産と相談した上で、神田明神境内に移動させたのだという。

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