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アマゾンが映画会社MGMを9200億円で買収 動画配信を強化、巨大化に懸念の声も

【ワシントン=塩原永久】米通販大手アマゾン・コムは26日、映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を84億5千万ドル(約9200億円)で買収すると発表した。人気スパイ映画「007」シリーズなどの製作で知られるMGMを傘下に置き、「巣ごもり需要」拡大の追い風を受けるインターネット動画配信を強化する狙いだ。

MGMは1924年設立で、往年のミュージカル映画「雨に唄えば」や、ボクサーの再起を描いた「ロッキー」など数々の名作を扱った名門だが、近年は経営難のため身売りが取り沙汰されていた。

アマゾンは、MGMが持つ4千を超える映画や約1万7千のテレビ番組を、会員向け有料サービス「アマゾンプライム」に投入。コンテンツ獲得競争が激化するオンライン動画配信市場で競争力を高める。

新型コロナウイルス流行を受けた巣ごもり需要で、動画配信サービスは大きく伸びている。ネットフリックスなど新興勢力に対抗する狙いもあり、米通信大手AT&T傘下の大手メディア「ワーナーメディア」と同業の「ディスカバリー」が17日、経営統合を発表したばかりだった。

アマゾンのMGM買収完了には当局の承認を得る必要がある。アマゾンにとっては、2017年に約137億ドルを投じた米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットの買収以来の大型案件となる。

一方、市場支配力を強める巨大IT企業の買収発表に懸念も出ている。米メディアによると、米上院のクロブシャー議員(民主党)は26日、「この買収が競争を阻害する恐れのないよう米司法省が徹底した調査を実施しなければならない」との声明を出した。共和党議員からも買収に反対する声が出ている。

アマゾンをめぐっては、米首都ワシントンの司法当局が25日、同社の通販市場に出品する事業者に不当な取引条件を課しているとして、アマゾンを独占禁止法違反で提訴していた。

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