ハザードマップ

パネイル/サティス 電力小売り参入で多額の債務負担

 ▼パネイル

 パネイルは5月18日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。当初は太陽光発電業者向けのマッチングサイトを運営していたが、電力小売り自由化を契機に電力需給管理システムの開発や電力小売り業務支援などのコンサルティングに乗り出した。

 主力商品の「Panair Cloud(パネイルクラウド)」は、電力小売り事業者(新電力)向けのクラウドソリューションで、人工知能(AI)とビッグデータの分析技術を活用した電力需給オペレーションの自動化システムとして注目を集めていた。

 業容拡大の一方で、関連子会社を通じて電力小売り事業にも進出。また、2018年4月には東京電力エナジーパートナーと共同出資による電気・ガス販売会社「PinT」を設立して事業領域を広げ、18年9月期は売上高172億6141万円を上げていた。

 しかし、電力小売り事業での採算悪化などからその後は急速に業績が悪化。また、人材流出をめぐってPinTと、共同出資先の東京電力エナジーパートナーとの間でトラブルが表面化していたほか、資金繰り悪化から支払債務が延滞するなどして動向が注目されていた。

 ▼サティス

 サティスは5月17日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請した。主にレディース向けのカジュアルバッグの企画・販売などを手掛け、「SatiS(サティス)」「DVANCE(ディバンス)」の店名で、全国の大手商業施設内に出店していた。積極的な新規出店により、2017年2月期は売上高約15億6000万円にまで事業規模を拡大したが、その後は採算面で苦戦していた。

 こうしたなか、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休業や時短営業などで、21年2月期の売上高は約5億2800万円にまで低下。債務超過に陥るなど資金繰りが厳しさを増していた。3度目の緊急事態宣言の発令により先行きの見通しが立たず、今回の措置となった。

【会社概要】パネイル

 ▽本社=東京都中央区

 ▽設立=2012年12月

 ▽資本金=1億円

 ▽負債額=約61億円

【会社概要】サティス

 ▽本社=大阪市西区

 ▽設立=2005年10月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=約6億円

 〈チェックポイント〉

 パネイルは技術責任者の人材流出をめぐるトラブルが話題となっていた。電力小売り自由化を追い風に有望なベンチャーとして期待を集めたが、自ら参入した電力小売り事業が振るわず多額の債務を抱え込んだ。華々しい世間の評価の裏側で、悪化の一途をたどった業績が一枚岩となるべき経営体制を瓦解(がかい)させてしまった。

 サティスはコロナ融資を受けながらも経営を維持できなかった。コロナ禍が長期化するなかで、売り上げが回復しない企業は借り入れを導入してしのぐほかない。資金繰り支援策は引き続き継続され、資金調達のハードルは高くない。とはいえ、返済資金をいかに捻出するか、今後は過剰債務の克服が多くの企業で課題となってくる。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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