ビジネスマンはアスリート

(1)白戸太朗・東京都議会議員 「忙しい人ほどトライアスロンに挑戦するのは理由がある」

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 ビジネスとトライアスロンの共通点

--会社経営者といった多忙な人ほどトライアスロンに挑戦している印象があります

白戸議員:

 むしろ「忙しいから挑戦する」という人が多いのだと思います。時間は皆に等しく有限ですが、工夫次第で使い方を効率化できます。逆にいうと、人間は必要に迫られないと工夫をしない。例えば、「この箱の中にこれだけ詰めろ」と言われて初めて、詰め方を考えるのであって、箱の中がガラガラだったら適当に入れてしまいますよね。

 それと同じで、やるべきことが多いから「この1週間にどうやって練習時間を確保しよう」と考えるのです。そんなことを考えるのもパズルみたいで案外楽しいですし、隙間時間を利用することで短いスパンでスイッチのオン・オフが切り替えられるので、それぞれの集中度合いも高まります。

 とはいっても、プラン通りにできる事はそう多くなくて、「今日は思っていた練習の半分もできなかった」とか、「今週は目標の7割できた」とか、そんなことの繰り返しです。でも、達成できない、頑張りきれない感じが、長く続ける上でちょうど良いのだと思います。

 よく「トライアスロンはお金持ちがやるスポーツ」と言われることがあります。ですが、そうではなくて、ビジネスで成功する人のメンタリティとトライアスリートのメンタリティが近いのだと思います。迷ったときに前向きになれるかどうかというバイタリティ。途中で何かトラブルが起きた時にどうしたら前に進めるかを考える。そういう訓練の為(な)せる業(わざ)だと思います。

 面倒になってやめる人はいくらでもいますが、そこをトライアスリートは「じゃあ、どうやって乗り越えようか」と考える。そのメンタルの強さが、結果的にビジネスの成功にもつながるのだと思います。

 あとは努力を積み重ねることを楽しいと思えるかどうか。はっきりいってトライアスロンは地味な練習の積み重ねです。コツコツと練習を積み上げていくことで初めて達成できます。逆にいえば誰でもコツコツ頑張れば完走出来ます。歩みの遅い上達かもしれないけれど、それでも着実に成長を重ねていける根気はビジネスの側面においてもとても重要なことだと思います。

 人生に“第3の場”を

 また、これはトライアスロンに限った話ではありませんが、家庭と仕事以外の場所、つまり「サードプレイス(第3の場)」の置き方が多様な人は、人間の幅が豊かで、とても魅力的に見えるものです。

 趣味を介して広がる仲間との世界や知識は、勉強するものではなく、面白がってのめり込んでいくうちに自然と広がっているものです。仕事と家庭は当然大切ですが、そのサードプレイスの作り方次第で、人生の幅が変わってくると思います。

 特に20代や30代、40代はそれがとても大切です。私自身も、トライアスロンのおかげで今の自分があるようなものなので、若い方はぜひ、第3の場を作るようにしてください。

--都議として多忙な日々を過ごしていると思いますが、現在もトレーニングを続けていますか

白戸議員:

 時間に制限はありますが、体のコンディションと良いメンタリティが維持できるので、時間を見つけながらランやスイムを続けています。

 最近は毎朝、駅で街頭演説を行っていますが、街頭演説がない日の朝は1時間ほどランニングをしています。そうすることで体はもちろん、気持ちも整う気がします。1人で黙々と取り組むのが好きで、自分と向き合いつつ1時間くらい走っていると、頭の中が整理できて気持ちがすっきりします。スポーツというより瞑想に近いイメージかもしれません。

 政治の仕事はストレスも多く、精神的にしんどいこともたくさんありますが、身体とメンタリティが健康であれば、大概は乗り越えられます。そのためにも、意識して運動する時間を確保するようにしています。眠れない、食べられない、ということになると、当然仕事の質も低下します。

 われわれ政治の仕事をする人間は、都民の生活を幸せにしないといけないのに、自分が不健康だったら人を幸せになんてできませんよね。そのエネルギーを保てるよう、自分自身を整えることを常に心がけています。

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