自動車
トヨタは水素に活路、ホンダは「決別」 脱炭素へ探るエンジン戦略
マツダは継続の方向
エンジンの可能性を信じているのはトヨタだけではない。マツダは30年に生産する車両のEV比率を25%程度に引き上げる一方で、車体に搭載したロータリーエンジンで発電する電動車を22年前半から市場投入する計画だ。
丸本明社長は「あらゆる電動化技術が必要だ。絞り込むのはリスクが高い」と語る。マツダもかつて水素エンジンの開発に取り組み、現在は凍結しているが、「低価格な水素が普及すれば、使用すればいい」と語る。
また、自動車業界では合成液体燃料「e-fuel(イーフューエル)」やバイオ燃料などの開発も進む。これらの量産化が実現すれば、エンジン車やHVも脱炭素に貢献できる。
日本の自動車業界には、EV化を進めるだけでは気候変動問題の解決には不十分だとの思いもある。
日本自動車工業会の会長も務める豊田氏は50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという菅義偉政権の目標について、「全力で取り組む」と強調。一方で、電源構成に占める火力発電の割合が高い日本でEVが急速に普及すると、かえって発電時のCO2排出量が増え、電力不足にもつながる可能性があると懸念する。
豊田氏は「道は1つではない。最初からガソリン車やディーゼル車を禁止するような政策では日本の強みを失うことになりかねない」と訴える。
エンジンを捨てるのか、維持するのか。世界の潮流と日本のエネルギー事情を踏まえた各社の判断の成否が注目される。(宇野貴文)