現場の風

多様な交通データ統合し分析・予測 マーステックジャパン・最高執行責任者(COO) 岡部亜門さん

 --鉄道、バス、タクシー、飛行機など交通に関する多様なデータを共有し、分析・予測できる移動情報統合データ基盤を開発した

 「移動するユーザー、交通手段、商用施設などの目的地の状況、それぞれのデータをつなぐことがまちづくりで求められている。移動に関するデータといっても、電車、バス、歩行者、自転車、タクシーと多様だ。それらをひとつなぎに分析できる基盤となっている」

 --なぜ、交通データの基盤が必要なのか

 「鉄道会社だけでも、時刻表、駅の場所、運賃、リアルタイムの混雑情報などがある。バスも同じようにあって、タクシー、航空会社、パーソナルモビリティーやデマンド交通も、となるとデータは増え続ける。それらを一体として分析できれば、事業者同士の提携の効果や自治体の政策の影響などを把握することができる」

 --コロナ禍で人流データの分析に注目が集まった

 「一般的な人流データ分析では、『新宿駅周辺の人出が増えたかどうか』しか見えてこない。実際には、もうちょっと複雑で細かいところまで分析が必要だ。『電車で人が集まっている』とか、『近辺の飲食店エリアからは歩いてきている』といった経路も重要になる」

 --交通データの連携における課題は

 「データを使うという文化がそもそも根付いていなかった。データの管理の方法が会社によって異なり、データ活用のボトルネックになっていた」

 --データ基盤はどう利用する

 「典型的な例は3つ。交通事業者が経営課題を分析する。2つ目が自治体。住民や来訪者に案内する仕組みなどで活用できる。3つ目がまちづくりを検討している不動産事業者など。エネルギー、小売りのデータと組み合わせることで新たなサービスを生むという構想もある」

                        ◇

 おかべ・あもん 東大経済学部卒。2015年、戦略コンサルティングファームのアーサー・ディ・リトル(ADL)に入社。MaaSに関する事業戦略策定、官公庁の政策立案・調査プロジェクトに携わる。19年から現職。静岡県出身。

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